最近、企業からご依頼いただく求人数がめっきり減ってしまい、私のいる人材ビジネス業界は本当に悲惨な状況です。まあ、この世の中の情勢では当たり前の結果なんですけど。

しかし、堀江さんにまで名指しで心配されてしまうとは・・・。
しかし・・・不況はどんどん進行しているようです。人材紹介会社は青息吐息らしいです。以前は紹介する人を見つけさえすれば、業績を上げられたようですが、今は、去年人を採用しすぎて内定取り消しすら出ている状況で中途採用なんか出来ません。ということらしいです。最大手のリクルートでも人材紹介事業は赤字だとか。他は推して知るべしです。


募集・採用時の年齢制限は禁止されたけれど

こういう時期には、景気拡大期と違い、企業からの求人依頼は欠員募集などのピンポイントな求人のみに絞られていきます。そしてこのピンポイントが行き過ぎて、企業も意識しないうちに法律上問題のある募集条件となってしまうケースも少なくありません。

特に、最近の不景気で問題が深刻化するのでは?と懸念しているのが「年齢制限」問題です。

2007年10月から施行された改正雇用対策法により、募集条件に年齢を設定することが原則禁止になったのですが、実態としてはそれが守られているのかは甚だ疑問な状態。

採用選考においては、希望者全員と面接するわけにもいかず、書類選考で履歴書に記載される年齢を使ってふるいにかけている企業は多いというのが実感値であり、「35歳転職限界説」はまだまだ根強く残っていると言わざるを得ません。


定年制がいまだ合法とされている国、日本

一方で、世界各国の年齢差別に対する対応は、日本のそれよりもかなり厳しく、またスピードについても2歩、3歩先を行っています。

例えば、アメリカでは1967年より年齢差別が禁止されていますし、EUでも2003年までには主要国に年齢差別規制が導入されています。

しかし、これら各国の年齢差別禁止法令には、日本の年齢制限禁止法の発想と決定的に違う点が1つあります。それは、年齢を理由とした労働契約の終了、つまり“定年制”をも原則違法としている点です。

年齢だけを理由とした労働契約締結の可否判断が非合理的ならば、年齢だけを理由とした労働契約終了の判断も非合理的と言わざるをえない。これが道理ですね。

一方日本の雇用対策法では、“定年制”という年齢による労働契約終了の非合理性についてはまったく触れずに、採用についてのみ禁止法が立法されてしまいました。

なぜ定年制については触れなかったのか。そこには、日本に根強く残る終身雇用という慣行の存在があります。

終身雇用を成り立たせる制度として、“定年制”は欠かせない表裏一体の制度です。解雇規制がなくなって、アメリカ並に解雇が原則自由にできるようにならない限り、終身雇用に一定の上限を設けるための“定年制”は無くせないわけです。


年齢差別を完全に禁止するためには、踏むべきステップがある

年齢だけで採用をしないと判断するのはナンセンスですし、先進国として恥ずかしい状態なのは間違いありません。それは誰も異論を唱えることはできないでしょう。

しかし、定年や解雇規制との整理を端折って、採用における年齢制限についてだけ規制をしたことで、改正雇用対策法は事実上骨抜きとならざるを得なくなってしまった、と言わざるを得ません。

 解雇規制撤廃⇒定年制禁止⇒採用における年齢制限禁止

このようなステップで、しっかりと議論を積み重ねる必要があったのではないでしょうか。

「日本は定年制を前提とした終身雇用の年功人事なのだから、採用において年齢は重要な要素でありつづけるのだ」
「定年という年齢を理由とした契約終了が認められるのに、採用では年齢を使うなというのはおかしい」
改正雇用対策法に対する各企業のこういった反論はごもっともなところ。今の状態では、仏作って魂入れずな悪法だと言われても仕方がありません。

安倍政権下でこのような中途半端なカタチで改正雇用対策法を立法してしまった「立役者」は、某美人女優を妻に持つ某2世議員と聞いていますが、所轄官庁である厚生労働省には、正義感だけでなく、このような企業の現実の声に応えた立法をして欲しいと思いますし、世の中の実情に鑑みて改正する勇気ももってほしいと思います。




関連エントリ:

募集・採用における年齢制限禁止についての一考察(リクルート ワークス研究所)