企業法務マンサバイバル

企業法務を中心とした法律に関する本・トピックのご紹介を通して、サバイバルな時代を生きるすべてのビジネスパーソンに貢献するブログ。

退職証明書

転職希望者の職務経歴と年収実績の嘘を見抜く究極の技


PRESIDENT 2009.5.4号の飯島元秘書官のコーナーで、「履歴書のウソの見抜き方」が記事になっていて、これが人材ビジネスに関わる私の目から見てもあまりにも強力なワザだったのでご紹介。


“年金記録台帳”で職歴も年収も筒抜けに

採用する側としては、直近の職場は別として、それ以前についてチェックしようとすると、そう簡単ではありません。
私ならどうするか。まず履歴書を提出してもらうまでは同じ。次に、それを受け取った後で、こう指示を出すのです。「次の面接までに社会保険事務所に行って、年金記録台帳のコピーをもらってきてください。」
持ってきてもらった記録を見れば、過去の職歴は一目瞭然です。
同時に、その記録で年金保険料の事業者負担額と本人負担額もわかるので過去の所得状況も把握できます。「前の職場では年収○○万円を得ていたので、その程度は欲しい」という本人の希望額が妥当かどうかもチェックできるというわけです。

以前、弊blogで「退職理由のウソの見破り方」のノウハウとして、
・離職票
・退職証明書
をチェックする技を紹介しましたが、この年金記録台帳との合わせ技を使うと、企業としてはもう鬼に金棒。
転職活動において「解雇」を「一身上の都合で退職」と嘘をつくと、こういうことになります(企業法務マンサバイバル)

「そこまでやるの?」という冷ややかな目をされている人事担当者や転職希望者のみなさん。履歴詐称で痛い目にあったことのある企業は、こうでもして確かめにいくんですよ。

そして、飯島元秘書官はこうも言ってます。
私は、目の前にいる人物が「なにをしてきたか」よりも「信用ができるか」が、人材登用のコツだと考えています。大きな話をする人よりも、自分について誠実に話すことのできる人を選ぶのです。

うそつきは泥棒のはじまり、ではないですが、私も飯島元秘書官の意見に賛成です。

PRESIDENT (プレジデント) 2009年 5/4号

転職活動において「解雇」を「一身上の都合で退職」と嘘をつくと、こういうことになります


本当は会社から解雇されたけど、転職理由を「解雇されたので…」と言ってしまっては、応募先からの悪い評価を受けかねない。
なので、「一身上の都合で退職した」ということにして転職活動をしたいと思うがどうか。

つい先日、プライベートでこんな相談を受けました。

結論から申し上げれば、
「解雇されたなら、正直に言っておけ。」
というのが、この質問に対する回答です。

以下その理由をご説明したいと思います。


「解雇」を「退職」と表現することのリスク

通常の求人企業の認識では、
1)「解雇」… 会社側からの労働契約の解除
2)「退職(辞職)」… 労働者からの労働契約の解除
と理解していると思います。

つまり、「一身上の都合で退職」と聞けば、2)の自分の意思で辞めたと受け取り、求人企業はその前提で選考をすることになるわけです。

実は後で1)だったことがわかった場合には、企業としては当然どんな事情で解雇されたのかを改めてきちんと聞いて再選考しないではいられないのは当然のこと、会社によっては、そんな理由を聞くまでもなく嘘をついた信用ならない人物として、内定取消・解雇を決定する企業も少なくありません。

職業がら、このようなシチュエーションでの不採用・入社後解雇の合法性について、裁判例を洗いざらい調べたことがあるのですが、「従業員の責めに帰すべき雇用終了事実の不申告による採用取消や懲戒解雇は有効」とする裁判例は、いくつも存在しています(京都地判昭44年10月14日京阪自動車事件、名古屋高判昭51年12月23日弁天交通事件、東京地判昭47年7月20日荏原製作所事件など)。

一般人の感覚で考えても、倒産で解雇ならいざ知らず、普通解雇・懲戒解雇されたという事実は、採否判断の前提を揺るがす重大な事実の詐称・隠匿と捉えざるを得ないかと考えます。

実際に裁判まで争うケースはまれかもしれません。しかし、法的には確実にリスクがある行為ですし、裁判まで行かなくとも企業の通常の反応としてその応募者を採用したくなくなることは、残念ながら目に見えていると言わざるを得ません。


退職理由はその気になれば簡単に調査できる

リスクはあるかもしれないけど、解雇されたことがバレなきゃそれでいいじゃん、という考え方もあると思います。
しかし世の中そうはうまくいかないもので、応募先・転職先企業がその気になれば退職理由をすぐに調査できる情報源が存在するのです。

a.離職票

その情報源の一つが、「離職票」です。
職業安定所長が発行し企業経由退職者に交付される離職票には、離職(退職)の理由が、
1 事業所の倒産等によるもの
2 定年、労働契約期間終了等によるもの
3 事業主からの働きかけによるもの
4 労働者の判断によるもの
5 その他
といった分類に従って、かなり詳細に退職理由が明記されます。
離職票記入例(ハローワークインターネットサービス)

離職票は退職時に退職企業から交付されます(頼まないと交付しない企業もあるようですが)。採用における詐称リスクに敏感な“先進的”企業は、この離職票を提出するよう要求します。まずここでバレる可能性があります。

b.退職証明書

もう一つ認識しておくべき情報源は、一般的にはまだあまり知られていない「退職証明書」の存在です。
離職票とは別に、労働基準法第22条の定めにより、労働者が請求したときは、企業は退職証明書を速やかに交付する義務を負います。
退職証明書のモデル様式(神奈川労働局)

この権利・義務の存在を知っている“先進的”企業は、入社者に対し、退職した企業から交付してもらった上で提出するよう要求してくる場合があり、これによって白状せざるを得なくなるケースもあるのです。


そこまで確かめにくる“先進的”企業なんてあるの?というあなた。
確かにここまで疑り深い企業は今のところは多くはありません。しかし、確実に増加傾向にあると認識しています。世の中そんなに甘くない、と思っていた方がよいかと思います。

解雇を隠して転職したことがバレて、それを理由に再び(短期間で)解雇されることを想像してみてください。そんな人を次に雇おうという企業が、果たしてどこにあるでしょうか。

どこかの求人サイトさんではありませんが、そんな事にならないよう、くれぐれも「転職は正直に」。
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