企業法務マンサバイバル

企業法務を中心とした法律に関する本・トピックのご紹介を通して、サバイバルな時代を生きるすべてのビジネスパーソンに貢献するブログ。

退職

懐かしの退職挨拶メール

 
ちきりんさんのブログエントリ「『退職挨拶メール』を共有しよう!」につられて、5年前に前職を辞めた時の懐かしの退職挨拶メールを発掘。“衛星放送・通信事業者、7年、29歳”の場合。

本日をもって退職させて頂くこととなりました。
入社以来人事・総務・法務を7年務めさせて頂くなかで、皆様には大変お世話になりました。

「衛星を核とした新価値創造企業」

私は、****が当時企業理念として掲げていたこの言葉に心をくすぐられ、賛同し、1999年に入社しました。
2000年にxxxの資本が入り、上場を経て、会社のスケールが大きくなっていく一方、****の社内でこの「衛星を核とした」という言葉が死語のようになっていくのを目の当たりにし、率直に言って違和感と寂しさを覚えました。

皆様がそれぞれ何をきっかけにして****で働くことを決意されたのかはわかりませんが、多少なりとも「衛星」というキーワードに興味・好奇心を抱かれた部分があったのではないかと思います。
そうであるならば、その興味・好奇心を大切に、他の会社ではなかなか真似ができないような「衛星」にこだわったビジネス=新価値を生み出すことで、これからも社会の中で存在感を発揮する****であって欲しいと、本当に勝手ではありますが期待しています。

有り難うございました。

人工衛星とそれを打ち上げるロケットを海外メーカーから仕入れ、打ち上げた後国内にある衛星管制センターからコントロールし、衛星の中に積んである放送・通信回線を使って商売するというユニークな事業に携わっていたはずが、突然株主構成が大きく変わって入社当時の企業理念をないがしろにするような経営となり、何度対話してもその溝は埋まりそうもなかったことが辞めるきっかけになったので、こんなメールを書くに至ったのですが・・・立つ鳥後を濁さずどころか、遠まわしでも何でもない体制批判とアジテーションを繰り広げているあたり、今見るととっても大人げないですね(笑)。退職メールのダメな事例として参考にしてください。

sat

最近ではxxx社のシェアも低くなり、当時の社長もいなくなって、衛星を核としたビジネスに戻りつつあります。OBとしてとても喜ばしいことです。
 

【本】解雇・退職をめぐる実務対策―労働法学者の「論文型」教科書を予備校テキストのセンスで再編集すると、こんなに分かりやすくなります

 
この4月に発売となった労働法関連の新刊のご案内です。

このblogで紹介していないものも含め、労基法の解雇・退職関連の法律書は何冊も読んでいるのでもういいかなと思いながら、手にとってめくってみると「お、これは」と思う点が多く、結局お買い上げとなっ(てしまっ)た本です。

解雇・退職をめぐる実務対策 (労働法実務シリーズ)



見やすさへの配慮と法的な確からしさのバランスが秀逸

労働法に限らず、法律の本には、
1)見やすさをひたすら追求する「図表型」
2)法的な確からしさを優先する「論文型」
の2つがあると思います。

1)の「図表型」は初学者の理解には大いに助けになる一方で、実務には使えないものとなりがち。一方2)の「論文型」は実務の助けになる一方で、敷居が高く読みこなせないと宝の持ち腐れになりがち。どちらにも偏らない「丁度いい具合」がいいわけで。

その点でこの本はそのバランスが秀逸でした。

基本的な構成としては、
第?章で解雇法理全体について述べ、
第?章から第?章で普通解雇、整理解雇、懲戒解雇の順に解説し、
第?章では退職と合意解約と辞職の違いについて述べるという、
パンテグテン方式の如く講学的分類に忠実に、「論文型」構成をとりながらも、

実務家が最も知りたい「その解雇は有効となるのか無効となるのか」に関わる法的判断要素については、例えば普通解雇であれば
1 能力不足
2 勤務態度不良
3 欠勤
4 行方不明
5 遅刻・早退
6 協調性の欠如
7 私生活上の非行・犯罪
8 身元保証書の不提出
9 入社後発覚の持病
10 入社直後の産休請求
11 試用期間満了後の本採用拒否
12 私傷病による労務不能
13 業務上災害による労務不能
14 精神疾患
15 不注意による損害
16 雇止め
17 労働基準監督署への申告
18 職業人としての適格性欠如
19 ユニオンショップ協定に基づく組合除名・脱退
20 セクシュアル・ハラスメント
と、実務に即してかなり細かく個別テーマごとに節に分けた上で、その各節ごとに“チェックポイント”として法律と裁判例から導かれる法的判断要素をコンパクトにまとめており、「図表型」の分かりやすさも取り入れようという配慮が随所に見られます。

s-IMG_8743


また、重要な労働裁判例・判例をこれでもかとほぼ漏れなく引用し、特に重要な判例については各章の最後に「知っておきたい重要判例」というコーナーをわざわざ設けて判決文の抄録を掲載しているところもgood。
このあたりは、労働法全体について述べる本ではボリュームの関係で端折られてしまうところなので、分野別専門書ならではの良さが生かされています。

加えて、
・全体的に文字が大きく、
・2色刷りで重要な部分が目に飛び込んできやすく、
・文章に無駄が無く読みやすい
のも、通常の「論文型」法律書にない特徴。

s-IMG_8740

これらはすべて、著者が社会保険労務士でありながら各種セミナーや資格試験予備校の講師も務めている関係で、レクチャー用の教材作りに長けているからこその長所といえます。

はしがきによれば、今後「労働時間・休日・休暇」「賃金・賞与・退職金」とシリーズ化されていく予定とのこと。そちらにも大いに期待したいと思わせる良書です。

転職活動において「解雇」を「一身上の都合で退職」と嘘をつくと、こういうことになります


本当は会社から解雇されたけど、転職理由を「解雇されたので…」と言ってしまっては、応募先からの悪い評価を受けかねない。
なので、「一身上の都合で退職した」ということにして転職活動をしたいと思うがどうか。

つい先日、プライベートでこんな相談を受けました。

結論から申し上げれば、
「解雇されたなら、正直に言っておけ。」
というのが、この質問に対する回答です。

以下その理由をご説明したいと思います。


「解雇」を「退職」と表現することのリスク

通常の求人企業の認識では、
1)「解雇」… 会社側からの労働契約の解除
2)「退職(辞職)」… 労働者からの労働契約の解除
と理解していると思います。

つまり、「一身上の都合で退職」と聞けば、2)の自分の意思で辞めたと受け取り、求人企業はその前提で選考をすることになるわけです。

実は後で1)だったことがわかった場合には、企業としては当然どんな事情で解雇されたのかを改めてきちんと聞いて再選考しないではいられないのは当然のこと、会社によっては、そんな理由を聞くまでもなく嘘をついた信用ならない人物として、内定取消・解雇を決定する企業も少なくありません。

職業がら、このようなシチュエーションでの不採用・入社後解雇の合法性について、裁判例を洗いざらい調べたことがあるのですが、「従業員の責めに帰すべき雇用終了事実の不申告による採用取消や懲戒解雇は有効」とする裁判例は、いくつも存在しています(京都地判昭44年10月14日京阪自動車事件、名古屋高判昭51年12月23日弁天交通事件、東京地判昭47年7月20日荏原製作所事件など)。

一般人の感覚で考えても、倒産で解雇ならいざ知らず、普通解雇・懲戒解雇されたという事実は、採否判断の前提を揺るがす重大な事実の詐称・隠匿と捉えざるを得ないかと考えます。

実際に裁判まで争うケースはまれかもしれません。しかし、法的には確実にリスクがある行為ですし、裁判まで行かなくとも企業の通常の反応としてその応募者を採用したくなくなることは、残念ながら目に見えていると言わざるを得ません。


退職理由はその気になれば簡単に調査できる

リスクはあるかもしれないけど、解雇されたことがバレなきゃそれでいいじゃん、という考え方もあると思います。
しかし世の中そうはうまくいかないもので、応募先・転職先企業がその気になれば退職理由をすぐに調査できる情報源が存在するのです。

a.離職票

その情報源の一つが、「離職票」です。
職業安定所長が発行し企業経由退職者に交付される離職票には、離職(退職)の理由が、
1 事業所の倒産等によるもの
2 定年、労働契約期間終了等によるもの
3 事業主からの働きかけによるもの
4 労働者の判断によるもの
5 その他
といった分類に従って、かなり詳細に退職理由が明記されます。
離職票記入例(ハローワークインターネットサービス)

離職票は退職時に退職企業から交付されます(頼まないと交付しない企業もあるようですが)。採用における詐称リスクに敏感な“先進的”企業は、この離職票を提出するよう要求します。まずここでバレる可能性があります。

b.退職証明書

もう一つ認識しておくべき情報源は、一般的にはまだあまり知られていない「退職証明書」の存在です。
離職票とは別に、労働基準法第22条の定めにより、労働者が請求したときは、企業は退職証明書を速やかに交付する義務を負います。
退職証明書のモデル様式(神奈川労働局)

この権利・義務の存在を知っている“先進的”企業は、入社者に対し、退職した企業から交付してもらった上で提出するよう要求してくる場合があり、これによって白状せざるを得なくなるケースもあるのです。


そこまで確かめにくる“先進的”企業なんてあるの?というあなた。
確かにここまで疑り深い企業は今のところは多くはありません。しかし、確実に増加傾向にあると認識しています。世の中そんなに甘くない、と思っていた方がよいかと思います。

解雇を隠して転職したことがバレて、それを理由に再び(短期間で)解雇されることを想像してみてください。そんな人を次に雇おうという企業が、果たしてどこにあるでしょうか。

どこかの求人サイトさんではありませんが、そんな事にならないよう、くれぐれも「転職は正直に」。
記事検索
月別アーカイブ
プロフィール

はっしー (Takuji H...