弊ブログの昨日の記事で、i文庫HDに法務関連書籍を自炊→OCRにかけてiPadに入れていると便利、と書いたところ、


とのコメントをいただきましたのでちょっと補足。


まったく先生のおっしゃるとおりで、2011年から自炊をはじめて2年超の経験でも、実用書、それもリファレンス本のみにとどめたほうが良く、複数冊広げて並べて検討したり、パラパラと前後にめくりながら概念を理解するための基本書・概説書は紙の書籍の状態のままの方がいいかもと感じています。

具体例を上げてみましょう。たとえば、英文契約に関する本について、私のiPadには今22冊の自炊本が入っています。

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このうち、右下にある中村秀雄著『英文契約書作成のキーポイント』は、法務パーソンにとってのバイブルとして有名な書籍ですが、これは自炊にかけて後悔した失敗例のひとつ。この本は、何通もの英文契約書に触れて実戦をこなしながら、悩みを抱えた状態でじっくり腰を落ち着けて読むと、その解決の糸口が見つかるといった類の本だからです。ドラフティングに役立つテクニック・ノウハウもそこかしこに埋め込まれており、全文検索してそういった情報が見つかって助かることもなきにしもあらずなのですが、その頻度はそれほど高くありません。この失敗から、以降類書である平野晋『国際契約の<起案学>』やチャールズ・M・フォックス『英文契約書作成の技法』は自炊を控えました。

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英文契約関連でもあえて自炊を避けた本たち

もう一つ、個人情報・プライバシー系の論文や寄稿をいくつかしていたころに、別の観点から自炊の欠点に気付かされたことがあります。当初は引用判例などがPDFで全文検索できれば超ベンリじゃん!とガンガン自炊しかけていました。しかしいざ論文を書こうとしてみると、同じテーマをそれぞれの先生が違う角度でどう捉えているのかを比較して理解を深めていくシチュエーションが多く、A先生とB先生の基本書・概説書を机に広げならべて検討をしたいものの、いったん自炊をしてしまうとそれができない・しにくいのです。これは、書籍をそういう使い方をする立場になって初めて感じた不便さでした。あ、もちろんiPadを2台用意するという手はありますが・・・(笑)。

これらの失敗で得た教訓から、以降法務関連の本はリファレンス系の本、具体的には、契約書の例文・用語集のたぐいや、書式等がたくさん紹介されているような実用書を中心に自炊するようになりました。こういったものについては自炊すればするほど検索性の高さと相まって、データベースとしてのiPadの威力を強化できます。法務系以外だと、英文メールの例文集なんかも自炊向きでしょう。

もちろん、すべての本について自炊用と紙の書籍のまま保存用の2冊買うお金を惜しまなければ、いつでもどこでもiPadの中に自炊ファイルを持ち歩きつつ、必要なときに家で書籍の形でパラパラ参照できて最強なんですけど、それは現実的に無理。解決策として、今の所属組織は幸いにして業務利用で会社設置の書籍購入は自由なので、基本的に自費で購入して自宅に置くことを基本としつつ、必要な書籍は社費でも購入させてもらって家/会社の2箇所に置くことで、「どこでも」と「パラパラ」のニーズを最低限カバーしている状況。その上で、「パラパラ」の利便性よりも「全文文字検索」の必要性が高い本のみを自炊、という結論にいたったわけです。