企業法務マンサバイバル

企業法務を中心とした法律に関する本・トピックのご紹介を通して、サバイバルな時代を生きるすべてのビジネスパーソンに貢献するブログ。

経営代書人

「報告頂く」は「報告いただく」が正しく、そして「申し込み」は「申込み」が正しい件

 
今、お手紙調の一風変わった契約書を作っています。

この契約書は、リリースすると事業全体にもそれなりのインパクトを与えるシロモノなので、同じ部署のメンバーみなさんにも色々な視点からのレビューをお願いしてみました。

そしたら、こんなフィードバックが。

ここの「報告頂く」は補助動詞なので、「報告いただく」が正しいです。
「申し込み」の送り仮名は、「申込み」が正しいです。

は?何の決まり?そういう細かいことが聞きたかったんじゃなくて契約文書としてのレビューをお願いしてるんだけどな!なんかそれで意味が変わるわけ?日本語として普通にみんな使ってるし別にどっちだっていいんじゃない?ホラ電子辞書に入ってる広辞苑にだって「頂く」も「申し込み」もどっちも出てるしね!と(ココロの中で)イラっとしながらも、気になってちょっと調べてみたらこんな情報が。

公用文においては、確かにそのようになっているようです・・・。

公用文における漢字使用等について(昭和56年10月1日事務次官等会議申合せ)
キ 次のような語句を,( )の中に示した例のように用いるときは,原則として,仮名で書く。
(前略)
・・・ていただく(報告していただく。)
(後略)

そして、この申合わせを受けて、法令においても同様に取り扱われることになっていたようで。

法令における漢字使用等について(昭和56年10月1日内閣法制局総発第141号)
 複合の語
(一) (二)に該当する語を除き、原則として、「送り仮名の付け方」の本文の通則6の「本則」の送り仮名の付け方による。ただし、活用のない語で読み間違えるおそれのない語については、「送り仮名の付け方」の本文の通則6の「許容」の送り仮名の付け方により、次の例に示すように送り仮名を省く。
(前略)
申合せ 申合せ事項 申入れ 申込み 申立て 申出
(後略)

“経営代書人”を名乗る以上、こういった細かい公文書ルールも知った上で、契約書や文書を書かかなければと反省しつつ、丁寧に指摘をしてくれたメンバーに感謝なのでした。


法務パーソンとしてのキャリアゴールは、“経営代書人”なのかもしれない

 
「CFOとは、熱気球のように風に流される存在である企業を、熱やおもりといった限られたコントローラーを操って目的地に誘導する経営者を支える経営参謀である」と熱く語る本『最強の経営参謀』を読んで、前からうっすら思っていたことを少し書いてみます。

財務・経理パーソンであれば、キャリアゴールとしてCFO(Chief Financial Officer)という社会的にも認知された地位があるのに対して、同じ事務方にもかかわらず、法務パーソンのキャリアゴールは非常に見えにくいのではないかと。

CLO(Chief Legal Officer)やCCO(Chief Compliance Officer)という肩書きも世の中には在るには在りますが、法務部門のトップにとりあえずCFOっぽい肩書きを作ってみました感ありありで、期待や役割がしっかり定義されているとはとても言い難いように思います。

そんな中で、私たち法務パーソンは、キャリアゴールをどこに置いて仕事をすべきなのでしょうか。

私は今のところ、そのキャリアゴールを
経営の思いを法的な後ろ盾を備えた言葉で経営に代わって言語化する“経営代書人”である
と置いて仕事をしています。

経営者の思いを言葉に代えて、ステークホルダーと円滑なコミュニケーションできる状態を作る役割を担う人であり、しかも、言葉によって生まれる法的なリスクを熟知したうえで最も適切な言葉を選ぶことができる人のことです。

顧客・取引先とは、契約書や内容証明郵便等を通じて、

株主とは、株主総会の事業報告書やプレスリリース等を通じて、

従業員とは、社内規程等の社内文書を通じて、

それぞれの文書において、経営者の思いが、法的な確実性を備えて、きちんと伝わる言葉として表現されているかを見守り、サポートする役割。

日本においては「代書」と言う言葉に少しネガティブなニュアンスが含まれてしまうところがイマイチな感じもありますが、言語化能力で飯を食うという点をストレートに表現するには、自分の中では今のところこの言葉がしっくりくる感じです。


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