企業法務マンサバイバル

企業法務を中心とした法律に関する本・トピックのご紹介を通して、サバイバルな時代を生きるすべてのビジネスパーソンに貢献するブログ。

吉川達夫

【本】英文契約書の基礎と使い方が分かる本 ― 習うより「とにかく見て」慣れろ

 
著者の吉川先生より献本頂きました。ありがとうございます。

英文契約書の基礎と使い方がわかる本


タイトルは超初心者向けの本の様に見えますが、和文の契約書に関する知識をそこそこお持ちで、そろそろ英文契約をちゃんと理解できるようになりたいという方向けの、“中級者向け英文契約読み方指南本”といった趣。

総ページ数200ページあまりのうち、前半の70ページで、
・準拠法と裁判管轄
・裁判と仲裁
・ウィーン動産売買条約加入による影響
・インコタームス
といった英文契約を読み取くのに欠かせない基本的知識と、

どんな英文契約書にも必ず出てくる
・不可抗力条項
・譲渡禁止条項
・完全合意条項
・分離条項
etcといったいわゆる一般条項の解説をコンパクトにまとめた上で、

残り130ページを、以下のようなページ見開き(左ページに例文、右ページに吹き出しで注意点)スタイルで、英文契約のひな形(14種)とそのポイントの解説に費やすという、かなり思い切ったコンセプト。

s-IMG_9810

この価格帯でこれだけの種類の英文契約書ひな形を集めた本は無いかもしれません。ちなみに、この14種の英文契約ひな形については、CD-ROMまでついています。

200ページ足らずの本を読んだだけでは、英文契約書が作れるようになるはずもありません。だとすると、「英文契約を作れるようになる」ことを目指すよりも「読めてリスクのポイントが把握できるようになる」ことを目指すほうが現実的。
そんな思いで、色々な種類の契約書を数多く見せて英文契約に対する目を養う方向へと、コンセプトを振り切ったのではないかと推察します。

思えば、私達法務が英文契約を学ぶときも、結局はいかに数多くの契約書を見たかで経験が積まれていくわけで、難しい御託を並べるよりも、このコンセプトの方が実は学びが多いのかもしれません。

習うより慣れろ、ですね。
 

『ライセンス契約のすべて 実務応用編』を上梓しました


共著者として名前を並べていただいた本が、今ここに。

s-IMG_9499


ライセンス契約のすべて 実務応用編』です。

第1部 リスクマネジメントと契約作成のポイント

序 章 ライセンス契約をめぐるビジネスモデル 
第1章 ライセンス契約のリスク・ ロイヤルティ(実施料)
    不払リスクとそのマネジメント 
第2章 ライセンス契約のリスク・ 契約当事者の倒産リスク
    とそのマネジメント 
第3章 ライセンス契約に規定すべきミニマム条件チェック
    リスト
第4章 公正取引委員会のライセンスガイドラインとライセ
    ンス契約における成果物、改良技術、契約終了時の
    扱いをめぐる契約条項
第5章 知的財産をめぐる紛争とライセンス契約 

第2部 ライセンス契約失敗事例集

第1章 マスターライセンス契約とサブライセンシーの倒産 
第2章 ライセンス製品の販売不振 
第3章 ライセンス契約における最恵待遇条項と完全合意条
    項・修正制限条項 
第4章 ロイヤルティ(ライセンスフィー)の支払いと税金 
第5章 独占権と非独占権の切り替わり
第6章 ライセンサーの特許権消滅に関するライセンス契約
    の不備 
第7章 予想しなかった「許諾製品」によるライセンス収入
    の激減 
第8章 デザイナーの知識不足による不利な条約 
第9章 独占的ライセンス契約の意外な落とし穴 

第3部 有利に進める交渉術

第1章 ノウハウライセンス契約におけるライセンサーと
    ライセンシー -立場の違いによる交渉戦術 
第2章 国際製造販売ライセンス契約のバリエーション条項 

第4部 ライセンス契約モデル契約書集

第1章 技術援助ノウハウ契約 
第2章 商品化契約 
第3章 製薬業界におけるライセンス契約 
第4章 ロイヤルティシェアリング契約 
第5章 クロスライセンス契約 

姉妹書『ライセンス契約のすべて―ビジネスリスクの法的マネジメント』の上級編という位置づけのこの『実務応用編』。

ライセンス契約の失敗事例集や、交渉の過程で手の内として持っておくべきバリエーション条項の数々など、経験豊かなプロが知っていながら語りたがらない頭の中を覗かせてもらえるような、そんな内容になっています。
珍しいながらも旬なところでは、製薬業界におけるライセンス契約なんていう他の本ではお目にかからない契約書雛形まで収録されています。この部分だけでも、その業界の方にとってはなかなか貴重なのではないでしょうか。

私は、第1部でリスクマネジメント的観点から特にロイヤルティの取りっぱぐれをどう防いでいくかという問題を中心に、少しだけ書かせていただいています。


編著者である吉川先生と出会い、かような拙いblogを面白がっていただいたことをきっかけに話がトントン拍子に進み、共著者の末席に加えていただくことになったこの本。

私のパートの中身はどうあれ(おいおい)、出版社さんから商品として公に出る初の著作として、すばらしい経歴の皆様と一緒に名前を載せて頂いただけでも光栄です。この場を借りて吉川先生と皆様に御礼申し上げます。

ようやくAmazonにも登録されました(09/12/5現在は表紙画像がまだですが)。

ライセンス契約のすべて 実務応用編


ライセンス契約に少しでも携わるビジネスパーソンの皆様に、姉妹書と一緒に是非お買い求めいただけると、著者の一人として望外の喜びです。
 

【本】国際ビジネス法務―“ときどき国際法務”な法務パーソンにこそ持っていて欲しい転ばぬ先の杖

 
先日、ある会合でこの本の著者、吉川達夫先生とお話をする機会に恵まれました。

このブログでも数冊ご紹介しているように、「NY州弁護士 吉川達夫」のクレジットが入った本を目にすることは多いものの、あまりメディアには登場されない吉川先生。
どこかの事務所に所属されているおとなしい学者肌の弁護士先生、といったイメージを勝手に抱いていたのですが・・・実際にお会いした吉川先生は、仕事も遊びもバッチリこなす、カッコいい大人のオジサマでした。

それもそのはず、この本の奥付の著者略歴にもあるとおり、吉川先生はNY州弁護士でいらっしゃる以前に元商社法務部で16年、そして今もなお外資系IT企業で法務本部長を務められている、超一流の現役ビジネス法務パーソン

しかも、多忙を極める中複数の法科大学院で講師も務め、このように本も書いているという・・・。いつ本を書く時間があるんですか?と尋ねると「飛行機の中なんか、とってもはかどりますよね」なんてさらりとおっしゃる。タフな方ってこういう方をいうんだろうなあと。

そんな吉川先生自ら、「これは結構いいですよ」とお奨めいただいたのがこちらの本。

国際ビジネス法務―貿易取引から英文契約書まで



国際ビジネスの心得から実務までをコンパクトに網羅

先に結論を言っておくと、さすが吉川先生ご自身が自信作とおっしゃるだけあって、内容充実のすばらしい本なので、国際ビジネスに関わる方であれば買って損はありません。

第1部では、国際ビジネスの法務の何が難しいのかを、準拠法の問題、知財紛争の問題、労務の問題に分けてポイントを絞って解説し、

第2部では、貿易実務を通して、安全保障貿易管理など輸出入に関わる法規制、インコタームス、信用状などの貿易実務、それらを踏まえたSales Note(売買契約)について具体的に解説し、

第3部では、
1)Distributor Agreement(代理店契約)
2)Service Agreement(業務委託契約)
3)Non-Disclosure Agreement(守秘義務契約)
4)Memorandum of Understanding(意向書/覚書)
5)Joint Venture Agreement(合弁契約)
6)Termination Agreement(解除契約)
7)Settlement Agreement(和解契約)
の7つの英文モデル契約を逐条式で解説するという、

かなりな広範囲をカバーした、欲張りの構成。

特に、他の国際法務本にはない特徴が見られるのが、株式会社クボタ法務部の方がメインで書かれた第2部の貿易実務をからめた解説部分。
船荷証券や信用状の実物を見ながら、ディスクレ(信用状記載の条件と船積書類上の記載が異なること)で支払い保証機能がなくなる問題など、実務でどんなところがリスクになりやすいかを知ることで、それこそ商社の法務の方でもなければ契約書上は適当にスルーしてしまっているような国際ビジネス法務の怖さ・要点を教えてくれます。
s-IMG_8723

このあたりの充実ぶりは、これから国際法務をバリバリやるぞという新人法務パーソンだけでなく、海外営業パーソンにも参考になるはずです。


「国際取引はたまに」という法務パーソンにこそ

しかし、実のところ、国際ビジネスに毎日のように関わる方以上に、
「ウチはドメドメで国際取引の頻度は少ないから」
とか、
「基本的に渉外事務所に任せちゃうからな」
とか思っている、“基本国内法務、ときどき国際法務”な法務パーソンこそ読むべきなのがこの本ではないかと。

前職時代は私も国際法務に携わっていましたが、商売がら役務系の契約がほとんどで、売買契約なんかは年に数回あるかないかという程度。
ちょっと難しいものになると渉外事務所にお任せをしたり、それほどリスクがなさそうな売買契約であれば、信用状のチェックポイントだのインコタームスのFOBだのCIPだのの違いから生まれるリスクを、その都度いろんな本でばらばらに調べたり上司に聞いたりしながら、今思えば取引の全体像も把握せずかなり適当にチェックしていたように思います。

そんな私が今この本を読むと、断片的に理解していたチェックポイントの数々が有機的に繋がって見えてくるのです。

国際取引は滅多に発生しない=逆に言うとたまには発生するという、その「たまに」にこそリスクは潜んでいるわけで。
普段から国際取引に慣れっこな人よりも、そんな「国際取引はたまに」な法務パーソンが読んでこそ、まさに転ばぬ先の杖とも言うべきこの本の真価が発揮されるのではないかと思います。

【本】ライセンス契約のすべて―商標ライセンスとかアフィリエイトとか、最近契約書のバリエーションが増えてきたなあとお悩みの法務担当者に贈る本

 
11種類のライセンス契約について、それぞれサンプル契約を1種類ずつ提示しながら、契約を組み立てる上でのポイントのみを絞って解説する「雛形+解説書」タイプの参考書。


弁護士・弁理士だけでなく、在職中の法務パーソンが執筆者に加わっているのも大きな特徴。

1)特許ライセンス契約
  ―プライムワークス国際特許事務所
   パートナー弁理士 三木友由
2)商標ライセンス契約
  ―プライムワークス国際特許事務所
   パートナー弁理士 村田雄祐
3)著作権ライセンス契約
  ―プライムワークス国際特許事務所
   パートナー弁理士 森下賢樹
4)ソフトウェアライセンス契約
  ―プライムワークス国際特許事務所
   パートナー弁理士 森下賢樹
   パートナー弁理士 吉川達夫
5)フランチャイズ契約
  ―プライムワークス国際特許事務所
   パートナー弁理士 吉川達夫
6)ノウハウライセンス契約
  ―外資系デジタルコンテンツ配信企業
   法務担当部長 小松卓人
7)アフィリエイト契約
  ―あさひ・狛法律事務所
   弁護士 小原英志
8)製造・販売ライセンス契約
  ―松下電工法務部
   海外・事業契約グループ長 西村千里
9)製造ライセンス契約
  ―ファイザー株式会社
   取締役(法務・コンプライアンス担当) 飯田浩司
10)輸入ライセンス契約
  ―プライムワークス国際特許事務所
   パートナー弁理士 吉川達夫
11)国内販売ライセンス契約
  ―あさひ・狛法律事務所
   弁護士 島美穂子

おそらく、6・8・9章で紹介されているサンプル契約は、その企業で用いられている雛形に相当近いのでは。経営法友会のセミナーなどでは自社の雛形を公開されている企業もまれにありますが、本というかたちで公にされている例は少ないので、そういった意味でも価値があります。

一方注意していただきたいのは、条項ごとに丁寧に解説していくような逐条解説型ではなく、そのライセンスビジネス上のリスクポイントに絞って解説をする形式になっており、また法律や契約法そのものの説明も割愛されているという点。
つまり、契約法や知財法の基礎知識、契約書作成の経験をすでにある程度備えている法務実務家を読者に想定した本になっているということです。

民商法・著作権法・商標法等の法的知識を一通り覚え、契約の基礎的実務も習得して、あとは対応できる契約のバリエーションを増やしていきたいというステージの法務パーソンには特に最適でしょう。

残念ながら英文契約への対応が弱いので、英文のライセンス契約に重点を置いて勉強したい方には、以前紹介しているこちらの本をおすすめします。
▼【本】知的財産・著作権のライセンス契約入門―メーカー・知財法務担当じゃなくてもこれは是非抑えておきたい3種類のライセンス契約(企業法務マンサバイバル)

記事検索
月別アーカイブ
プロフィール

はっしー (Takuji H...