レバレッジ・シリーズの中で、もっとも食わず嫌いが起きそうなのがこの『レバレッジ・マネジメント』でしょう。

そもそも対象が経営層という位置づけになっていて敷居が高い感じがします。加えて、Amazonのレビューにも「これまでのレバレッジシリーズの二番煎じ」的なコメントもあり、食わず嫌いに拍車をかけそうです。
実際私がそうで、他のレバレッジシリーズは全て購入しておきながら、これだけは手が伸びずにいました。

ところがある日、Amazonのレビューの星の数が、他のレバレッジ本は3.5点もしくは4点止まりなのに対して、この本だけ4.5点が付いている(2009/5/14現在)ことに気付いた私。

何かある、と思って読んでみたら、やはりそれだけの理由がありました。


レバレッジ・マネジメント―少ない労力で大きな成果をあげる経営戦略



ついに個人レベルを超えて組織レベルのレバレッジへ

その違いの理由は、今までの“個人レベル”のレバレッジにとどまらず、“組織レベル”のレバレッジに大きく踏み込んでいるところにあります。

第1章は、経営の前提となる「経営者の頭の中」のレバレッジのかけ方を学ぶ章。この本の中で唯一“個人レベル”の改善にフォーカスしたこの章は、確かにこれまでのレバレッジシリーズと同じコンセプトであり、1冊でも読んだことのある方はデジャブ感は否定できません(おそらく本田さんはこの第1章を、レバレッジシリーズ初体験の読者に向けた章として割り切って書かれたのだと思います)。

しかし、この本の本領はこの第1章ではなく、そのレバレッジ論を“組織レベル”に高めた、第2章〜5章に居並ぶパートにあります。

・第2章では、「戦略」のレバレッジとして、
 会社の方向性の定め方を、
・第3・4章では、「営業」「ブランド」のレバレッジとして、
 売り込まなくても売れる仕組みの作り方を、
・第5・6章では、「仕組み化」「組織」のレバレッジとして、
 自分ですべてをやらなくても済むようになる方法論を、

今までのレバレッジシリーズよりも、もう一段高みに立った視点で語ります。

メンバーは課長の視点で、課長は部長の視点で、部長は社長の視点で仕事をせよというビジネス格言がありますが、経営者ではなくても、このような高みにたった視点を持つのは有用だと思います。


組織レベルの各論の、そのさらに先の具体的手法まで

そしてこれらの“各論”のさらに“具体策”まで踏み込むのが、本田さんの本の魅力。

たとえばこの本の第3章、「営業」のレバレッジの中での印象的な部分を引用させていただくと、
経営者は先頭を切って営業しなければならない。こう述べると、決まって同じような反応がある。
「そんなこと、いわれなくてもやっています。実際、私自身が営業成績トップと言う状況で、何件もの顧客を廻るのに大忙しです」
こう答えて胸を張る経営者は、「先頭を切って営業する」という定義を誤って理解している。
先頭を切るとは、レバレッジ営業の根本的な仕組みを作ることだ。具体的にはまず、「キーとなる有良顧客」を取ること。これは数社でよい。「あの会社と取引があるなら安心だ」と思われるような顧客を、経営者もしくは幹部クラスががっちりつかむ。すると、営業部員たちの仕事は格段にやりやすくなる。
「こうやればうまくいく」がとても具体的で、説明も分かりやすいので、読後の満足感が高いのもうなずけます。

しかもそれらの手法論は、バックスグループの経営者として本田さん自身が効果を実証済み。
たとえばバックスグループでは、クレジットカード会社へのサービス展開を検討していた時、私の人脈を使って、某外資系クレジットカードから大きな仕事を取った。するとその後は、他社への営業がやりやすくなり、十億円規模の事業に成長することができた。
ここが、単なる経営コンサルタントと違う本田さんの最大の強みだなと、改めて思います。