企業法務マンサバイバル

企業法務を中心とした法律に関する本・トピックのご紹介を通して、サバイバルな時代を生きるすべてのビジネスパーソンに貢献するブログ。

リスク

リスクが脅威なのではなく、リスクによって発生するクライシスが脅威なのである

 
企業のリスクマネジメントにおいて、「リスク」とは、ステークホルダーに対して約束している企業価値を損なう可能性をもつ事象のこと。
あくまで可能性であって、今現在は現実のダメージとして発生していない状態にある事象をいいます。

これに対して、現実のダメージとして発生しており、実際に企業価値を減少させている事象を、「クライシス」といいます。

この定義の違いを曖昧にしたまま、つまりリスクという言葉にクライシスを含めたまま議論をしてしまうと、リスクコミュニケーションはうまくいきません。

いまだクライシスになっていないリスクをすべて脅威と捉えてしまうと、すべて回避・排除・処理しなければならないことになります。それでは現場の業務がすべてストップすることになり、企業経営は成り立ち得ないからです。

クライシスが発生した際の影響度と事後処理の方法をしっかりと想定した上で、クライシスの発生源たるリスクについて
・受容・許容できるもの
・費用をかけて回避・排除・処理する必要があるもの
の境界を、冷静な視点で判断することが大事。

この厳しい景況感の中で、リスクマネージャーにはまさにその冷静さと選球眼が問われていると実感しています。

【本】必携リスクマネジメント入門―この本を幹部社員に配る予算さえあれば、リスクマネジメント研修がすぐ出来る

 
新書よりもほんの一回り大きいコンパクトサイズに、リスクマネジメントの要諦が纏められた、“キングオブリスクマネジメント入門書”ともいうべき本がこれ。

必携リスクマネジメント入門―リーダーが正しいリスク対応をするために



幹部向けリスクマネジメント研修のテキストとして

最初の2つの章がいきなり、
 Step1 リーダーとしての心構え
 Step2 リスク発生時の対応方法
となっていて、リスクとは何かとか、リスクマネジメントは何かという議論がすっ飛ばされているので、ちょっと唐突感があるかもしれないこの本。

こんな順番になっているのは、「まえがき」にもあるとおり
リスクマネジメントの入門書として、経営者の方を中心に観念論でなく、行動書として使える
ような本とすることを目指しているこの本のコンセプトから。

この冒頭の2章も悪くは無いのですが、この本の真価は、むしろそれ以降のパートである
 Step3 「リスクマネジメント」の本質をあらためて考察する
 Step4 リスクの問題解決の手順と内容
 Step5 リスクマネジメントの維持・定着化
の3つの章で発揮されている感があります。

難解な専門書で語られるリスクマネジメントのポイントやノウハウのおいしいところを、“シンプルな図表”と“理解しやすい言葉”でつまみ食いしていくような内容になっていて、(深い理解にまで到達するかどうかはさておき、)「リスクマネジメントってこんな感じ」というイメージと、要所要所で取るべき具体的行動が取れるような本になっています。

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リスクマネジメントの考え方を難しい言葉で語る本は探せばいくらでも見つかるもの。自分で勉強する時は、そういった本を繰り返し読んで噛み砕いていく作業自体が勉強になるわけですが、リスクマネージャーとして社員にそれを浸透していく過程においては、易しい言葉で、しかも分かりやすい順番で話せるかどうかがポイントになります。そんなシチュエーションで、この本の説明の仕方はとても参考になると思います。

幹部を中心にリスクマネジメントの意識醸成をなるべく早く図りたい、でもそのための研修資料を作っている暇は無い・・・というような状況であれば、自分でゼロから研修用のテキストを作るより、この本を人数分買って配って勉強会を開いてしまうのが手っ取り早いかもしれません。

【本】実践リスクマネジメント―「頼れるリスクマネージャー」であるための虎の巻

 
リスクマネージャーを拝命してから、何はともあれ「頼りになりそう」な1冊はどれか、と探して見つけたのがこれ。

実践 リスクマネジメント―事例に学ぶ企業リスクのすべて



電話帳のような厚みが生む安心感

A4サイズと大きめ、そして580ページを超えるぶ厚さ。
ちょっとした電話帳サイズで、見ただけで何でも載ってて頼りになりそうな安心感を醸し出してます。

といってもただ情報量が多いだけでなく、リスク分野のコンサルティングを専門に行う企業の著書だけあって、図表を多用し、リスクマネジメントのフレームワーク・リスクに関するデータをキレイに分かりやすく整理してくれているところが特徴。

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第1編はリスクマネジメントの考え方
第2編はリスクの種類別各論
第3編は各社リスクマネジメント取組みの実際
こんな3編構成になっていて、特に第2編の各論部分には420ページあまりが割かれており、ここがメインのコンテンツになっています。
火災・盗難といった財物リスクにはじまり、リコール・苦情対応・株主代表訴訟といった法務リスク、環境リスク、情報セキュリティリスク・・・と、およそ思いつくほとんどのリスクについて章立てされて網羅的に整理されています。

第1篇のリスクマネジメントの基本的考え方の部分も、他のリスマネ本よりもすっきりコンパクトにまとまっている印象。
?リスクの発見・確認
?リスクの分析・評価
?リスクの処理
?結果の検証
というリスクマネジメントの基本フレームワークの解説が特に分かりやすく、自社のリスクマネジメント戦略を考える上でのベースにさせてもらっていました。

リスクマネジメントについて困った時に、この本を紐解けば何かしらの解決の糸口やアイデアの種が入っている「虎の巻」ともいうべき、そんな安心感を与えてくれる本だと思います。
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