最近、日本の人材業はどうあるべきかを考える時間が多かったこともあり、主に米国の動きに見る募集・採用/就職・転職のこれからを占うにあたって私が気になっているキーワードを7つ、ピックアップしてみました。
採用担当者、人材業界にお勤めの方は既に耳なじみがあったり概念的にもよくご存知&ご検討中のことも多いと思います。
対する就職・転職者サイドとしても、企業の募集・採用手段が多様化しながらシフトしつつある動きを知っておかれると、参考になるかもしれません。
1)ダイレクトソーシング
採用担当者が自社求人広告HPのSEO対策、ソーシャルメディア(FacebookのFanページ、LinkedinのGroup、自社ブログ)の活用を行うことで、外部の広告・人材サービスを使わずに直接採用活動を行う手法。
特に求人のバックオーダーが多い企業を中心に、手間さえ掛ければ(エグゼクティブサーチ等の)外注コストをかけずに募集・採用を行える手段としてソーシャルメディアが認知され、活用されている。
2)ソーシャルリクルーティング
大量の求人広告出稿・スカウト→選考により応募者を“使い捨て”するこれまでの採用モデルから脱却し、ターゲティングされた少数の候補者と緩やかな関係を築きながら、採用に向けて優秀層を“囲い込む”新しい採用モデルのこと。
上記1)のダイレクトソーシングの動きとは逆行するが、SEO対策による呼び込み→Linkedin・Facebook・Twitterなどによる関係構築→囲い込んだ求職者管理をサービスとして行うJobs2webなどが評価されている。
3)タレントコミュニティビルディング
具体的な応募意志はないが自社に興味を持っている人材を、最新求人情報やイベント・ニュースを配信する自社DBに登録させ、リピーター化/口コミ(バイラルマーケティング)により新たな登録者を増やしながら、潜在的応募者として囲い込んでいく手法。
マイクロソフトやBESTBUYなどが先進事例。
4)バーティカルサイト
求職者が企業の採用HPやあらゆる求人広告サイトをバーティカルに(横串で)検索できる、求人に特化した検索エンジンサイト。
数ある中でも最近人気が高まっているサイトがsimplyhired。日本版を使ってみるだけでその威力は感じられるはず。日本では仁王などが古くから運営されている。
5)バーチャルキャリアフェア
主に新卒採用向けに、動画とチャットを利用して就職セミナーを実施する手法。
実施イメージとしては、一時期ブームになったセカンドライフにも似ている。セミナーの運営負担が激減するだけでなく、上述したタレントコミュニティへの誘導動線もスムースになる効果が期待できるのも長所。
shakerやalumwireが著名。
6)アセスメント
労働者としての資質・基礎能力・職務志向・情緒傾向・コンピテンシー・組織風土適応度等を主にテスト形式で測る行為全般のこと。
米国ではKenexa、Previsor、DDI等がベンダーとして評価されている。日本ではリクルートマネジメントソリューションズのSPI2がよく利用されるが、SHLなども利用を伸ばしている。
7)ビデオインタビュー
求職者があらかじめ用意された就職面接での質問に応えるビデオインタビューを録画しておき、これを企業が検索・閲覧できるように公開or送信するテクノロジーと手法のこと。
企業の採用コスト・労力を抑えることができるほか、求職者にとってはこれを公開しておくことでスカウトを待つSNS的効果や、インタビューに出向く労力を避けられるメリットも。interviewstudio、facehire、InterAcitive Applicantなどがメジャー。
さて、これらのキーワードを見渡して見えてくるのは以下2つかと思います。
- 企業としては、人と人との縁故で採用を行うのが一番確実・安心でいいと思っていても、限られたルートの縁故しか頼れなかったところに、IT特にSNSにより緩やかな縁故を「自ら」の努力で築け、かつ効率的に職務能力を測れるようになった。
⇒採用担当者は、縁故構築マーケッターとしての能力と人材の目利きをスピーディに行う能力がより問われるようになっていく - 対する求職者も、企業を効率的に比較できる手段が増えたことに加え、SNSやITを駆使することで、自分の能力・実績をアピールできるルートが増えた。
⇒労働者は、日常からネット上での信頼構築・評判獲得のための活動をしておくことが、自分の雇用を守るためにますます重要になっていく
日本独特のサービスと言われる(エグゼクティブサーチではない)登録型人材紹介・人材バンクサービスは、採用担当者の代わりに縁故構築を担い、同時に求職者に代わって沢山の採用担当者にその能力と信用をアピールするという役割を担ってきたわけですが、まさにこの機能の大部分がSNSを中心としたITで代替できるようになってきているのが今。今後人材業はどこに顧客にとっての価値を見出し、サービスを磨いていくのかが問われています。
人材サービスに携わらない方にとっても、就職・転職という局面のためだけであっても、やはりSNSは駆使できるようになっておかないと、(採用者としても労働者としても)時代に置いていかれてしまうことは間違いなさそうです。









