一見すると非常にシンプルな、タイトルそのままの英語論文表現集のようでいて、論文を英語で書くとはどういうことかを背中で語る本。25年ぶりの改訂だそうです。
英語論文はかくあらねばならないといった小難しい講釈は抜きに、ひたすら「型」としての英語論文表現と応用例が集められています。
表題(タイトル)の付け方、コンマやセミコロンなどの句読法、グラフの必要箇所を指し示す際の英語なども紹介されています。こういった表現を辞書から探すのは至難の業。英語論文を書く時間をぐっと効率化し質を向上させてくれる、行き届いた本だと思います。
淡々とした解説の中にも、本書全体を通して、「明晰な論理の積み重ねを旨とする英語論文が書けるようになるには、日本語論文を書く段階から意識して訓練していないと到底無理ですよ」という筆者のメッセージを感じます。法務の世界における似たような話で、文章の論理構成にあいまいさが残る日本語版利用規約を英訳しようとして、訳しきれずに端折ったりごまかした経験は、法務の方ならあるのではないでしょうか。
いまどきの優秀な若手研究者にお会いすると普通に英語で論文を書いていて、日本語論文のabstractを英訳するだけでも冷や汗モノな私とは、彼我の差を感じます。彼らが誰から言われるでもなくそういうスキルを身に着けているのは、日本という市場に魅力や優位性がなくなり、英文で発信しなければ検索されない・発見すらしてもらえなくなっていることを、私たちの世代以上に切実に感じているからです。
あと2年後に迎えることになるアフターオリンピック。主婦層までがこぞってフィリピン留学・Skype英会話にいそしんでいた英語学習ブームも一巡し、最近は落ち着いてきた感じがありますが、インバウンド需要が消えた後の日本を想像すると、「2020年に世界からくるお客様をおもてなしするための英会話力」より、むしろ「2020年以降に日本の中から私を発見してもらうための英語論文力」こそ、身に着けておく必要があるかもしれません。
しかもそれは、英会話力よりもはるかに身につけることが難しいスキルです。





































