facebookの背景にあるハーバード大の寮生活、アメリカの若者文化、ベンチャービジネスのダイナミズム、さらにはマーク・ザッカーバーグの少し気難しいキャラクターが描かれた映画『ソーシャル・ネットワーク』が、昨日から日本でも公開されました。
「映画公開と聞いて、前から耳にはしていたfacebookを使い始めてみたけど、まだ何が凄いのか分からない」
「映画を見て、マーク・ザッカーバーグが好きになった」
「映画で描かれたfacebook創世記の後日談も知りたい」
そんな方は、映画の原作である『facebook 世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男』ではなく、こちらをお読みになることをおすすめします。
フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)著者:デビッド・カークパトリック
販売元:日経BP社
(2011-01-13)
販売元:Amazon.co.jp
映画の原作本『facebook 世界最大のSNSでビル・ゲイツに迫る男』が、ザッカーバーグと喧嘩別れしたエドゥバルド・サベリンの視点から創作・脚色された(なのでザッカーバーグはこの原作に対しては全面取材拒否しています)“人間ドラマ”なのに対し、こちらは、元フォーチュンの技術記者が、本人を含めた緻密な取材をもとにその発展の歴史を冷静に描く“ベンチャー発展の史実書”、といった感じ。
フェイスブックは順調に成功の道を歩んでいたが、ザッカーバーグはワイヤーホグにも同じくらいの情熱を注いでいた。ショーン・パーカーは
「この当時奇妙だったのは、マークがザ・フェイスブックが成功すると100パーセント信じていなかったことだな。マークはほかのこともやろうとしていた」
(略)しばらくして、さすがのザッカーバーグもワイヤーホグに関して頭を冷やして考えられるようになった。「マークもやっと現実に目が覚めた。どれほど時間を無駄にしていたか気がついたんだ。」
ザッカーバーグは、「ワーク・ネットワークス」と名付けた新しいサービスを立ち上げようとした。これはフェイスブックとして、初めて大人を対象にしたサービスとなるはずだった。ワーク・ネットワークスはフェイスブックが大学ごとに設定されたにならって、会社ごとに設定されるクローズドなネットワークだった。
しかしワーク・ネットワークスは失敗だった。スタートしたものの、ほとんどユーザーを獲得できないままに終った。
こんな映画の原作には出てこないザッカーバーグの失敗にも触れられていて、彼が単なる「ネットサービスを生み出す天才」などではないことも分かります。
そんな失敗を、その時々の参謀たちの助けを借りながら、結局はうまく乗り越えてきたザッカーバーグ。

人間のコミュニケーションをオープンで誠実なものにすることで、善良な世界に変えたい。その思想に賛同しない出資者や広告出稿主、社内幹部にコントロールされるような経営にだけはしたくない。
重大な意思決定のタイミングが訪れる度に、ザッカーバーグが頑固なほどこのポリシーを守りぬいたこと、そして素行の悪さから業界では滅法評判の悪いショーンパーカーが、どんなに増資をしてもザッカーバーグから会社のコントロール権が失われないように仕組んだ“ある仕掛け”こそがfacebook発展の礎となっているのだと、この本を読むとよく分かります。また、映画やその原作が女性との愛憎やセックスという人間(若者)の本能的な部分に焦点を当てているのと比較すると、同一ベンチャー企業の成長物語のはずが、かなり対照的に描かれていることにも気づくでしょう。
なお、映画よりもボリュームたっぷり(500ページ超)のリアルで詳細な描写になっているだけに、これから映画を観ようという方がこの本を先に読んでしまうと、映画が知ってる事だらけでつまらなくなるので、ご注意くださいね。





















