ポケモンGOが不法侵入・迷惑行為を助長するのではないかと不安を煽るような記事が日本でも雨後の筍のように書かれている中、アメリカでは早くも運営会社に対して訴訟を起こした方が出ました。し、仕事が早い…。

Pokemon Goes to Court in Backyard Monster Trespassing Case(Bloomberg)
A New Jersey resident with a pocket monster in his backyard filed what may be the first lawsuit against Niantic Inc. and Nintendo Co. for unleashing Pokemon Go across the U.S., claiming that players are coming to his home uninvited in their race to “catch ’em all.”
The West Orange man alleges the companies have created a nuisance with their GPS-based game and seeks class-action status on behalf of all Americans whose properties have been trespassed upon by players in search of Pokemon Go monsters.

記事によれば、「お宅の庭にポケモンがいるから捕まえさせてくれ」と(笑)少なくとも5人が玄関をノックするありさまで、迷惑していると。本当にそんな程度で訴訟まで起こすものですかねとカリフォルニア州裁判所サイトにウラを取りに行ったら、7月29日に本当に提訴されファイルされてました。ということは、前回エントリの利用規約解説で触れた仲裁合意のオプトアウトも済みってことなんでしょうね。

mardervniantic

ポケモンGOの下地を作ったIngressではここまでの問題にならず、ポケモンGOがこうなってしまったのはなぜなのか。Ingressをやっていた方ならご存知のとおり、現実世界にリンクするかたちでARの世界に設置された「ポケストップ」に相当する「ポータル」の設置数はもっと多かったですし、かなりマイナーな場所にも設置されていました。一方、ポケモンGOのポケストップは、実際にプレイしてみると公道沿い・公園内など私有地・住宅地を避けるかたちで設置されており、しかもIngressのポータルの数に比べてかなり限定的に設置されています。運営会社としてIngressとのユーザー規模・ITリテラシーの違いに配慮しながら、画面上に表示するユーザーへの注意文言に加えて私有地への不法侵入や近隣への迷惑行為が発生しにくいように配慮したと思われる形跡が(私には十分に)感じられたのですが。本件については(ポケストップの場所とは関係なく)たまたま私有地に多数のレアなポケモンが湧いてしまった、ということなのかもしれません。

Ingresspokemon


このレベルの努力や配慮でも「足りない」という法的評価となると、事業者にとって、今後AR技術を使ったビジネスは相当窮屈なものになることが予想されます。記事後段では、Ryan Morrison弁護士がこの点について同様のコメントを出しています。

The maps are based on Niantic’s original GPS-based, augmented reality game called Ingress, which generated a cult following after it was released in 2013. As they played the game, Ingress users helped build the map now used in Pokemon Go, said Ryan Morrison, a lawyer in New York who specializes in legal issues related to video games.
“There’s going to be 200 lawsuits, that’s for sure," Morrison said in a phone interview. “If the court comes along and says this kind of suit is OK, what a terrible blow it will be to augmented reality technology."

「訴訟は間違いなく200件は起きるだろう」という彼の予言が現実のものとなる前に、この問題を解決するアイデアや仕組みを考えたいところです。
 

2016.8.4追記

下記のとおりミスをご指摘をいただきまして、一部訂正いたしました。ありがとうございます。