シルバーウィークの音楽著作権特集は、少し硬派なこの本でフィニッシュしたいと思います。
本書を読むと、重要な著作権判例の大部分が、実は音楽著作権(物)に関する訴訟で形成されてきたことが分かります。例を挙げれば、
・ワン・レイニー・ナイト・イン・トーキョー事件
・クラブ・キャッツアイ事件
・スターデジオ事件
・記念樹事件
・グッドバイ・キャロル事件
・ファイルローグ事件
・MYUTA事件
・Winny著作権法違反事件
著作権法を学んでいれば必ず目にしたことがあるはずの事件たち。これらはすべて音楽著作権に関する侵害が問題となった事件です。本書でもこのような著名事件を取り上げて、著作権訴訟上の論点 → 事案の概要 → 争点 → 判旨 → 考察 という順に解説します。
本書ならではの工夫として、「60講」をあえて事件ごとに分けずに、一つの事件に複数の論点があれば講を分けて繰り返し取り上げている点が挙げられます。たとえば、ファイルローグ事件控訴審判決は、
21講 規範的利用主体論 プロパイダ責任制限法にいう「情報の発信者」
25講 インターネット上のサービス提供者の責任 ファイル交換サービス提供者
42講 差止請求 差止対象の特定
47講 不法行為に基づく損害賠償請求 相当な損害額の認定
の4つの講に分解して取り上げるといった具合です。
音楽著作権は何が難しいのか?法律家にとってのその難しさの原因に、よくわからない「業界慣行」「実務」という名のノイズが混ざり純粋な法的論点が取り出しにくい状況があるように思います。それらのノイズをできるだけ混ぜずに具体的な論点に絞って音楽著作権を学びたい方には、本書のような判例分析スタイルがお好みかと思い、ご紹介させていただきました。












