一昨日・昨日とご紹介した2冊とはうってかわって、ページ数少なめ&文字大きめ、初心者にも安心・・・と舐めてかかってしまいそうな装丁ですが、読み終る頃には、音楽著作権のテキストとしてのレベルの高さに驚かされると思います。
著者は、元CBSソニー(ソニー・ミュージックエンターテインメント)で34年間のキャリアを積んだ佐藤雅人氏。同社グループ内の研修講師も務めていたというだけあって、説明の組み立て方に他書にない工夫が見られます。特に、著者が序盤で力説している初心者のつまづきポイントが以下4点。これらは、音楽著作権は何が難しいのか?という問いへのアンサーにもなっていると思います。
- 音楽ビジネスの基本は、三者の権利(アーティストの演奏・歌唱/作詞・作曲家の創作した楽曲/レコード製作者が録音した音源のそれぞれに係る権利)
- 楽曲(=著作物 by 作詞・作曲家)と音源(=レコード by レコード製作者)の2つを区別する
- 著作者≠著作権者
- レコード会社≠レコード製作者
本書中盤では、このチャートを使いながら、権利譲渡の流れを実務に沿ってわかりやすく説明していきます。
玄人筋の方はこの図を見て、「え、レコード製作者とレコード会社は実務では一体でしょうが」とツッコミを入れたくなるかもしれません。しかしこれが初心者に「レコード会社」と著作権法上の「レコード製作者」との違いをしっかりと理解させるためのあえての工夫だったりするわけです。
圧巻は中盤以降。権利者三者ごとの微妙な支分権の差異をマトリックスで比較しながら細かく抑えていきます。著作権法の条文も丁寧に参照して読ませるなど、初心者だったはずの読者をそれとなく高いレベルへと導いていきます。
音楽だけにとどまらず、ビデオクリップやライブビデオに係る音源と映像の隣接権と実演のワンチャンス主義の複雑なからみを整理していくあたりは、もはや上級者向け書籍。
見かけによらず、初心者からプロまで満足できるテキストです。














