ついに、重い腰を上げて読了しました・・・。


著作権法 第2版
中山 信弘
有斐閣
2014-10-27



中山先生とその教え子の皆様を除けば、その次ぐらいに読み込んだ人間かもしれません(自分調べ)。なぜそんなに読み込むことになったかと言いますと、



という輪読会企画の存在に加え、所属組織のメンバーにも本書を基本書として、ライセンス契約とその前提となる著作権法をレクチャーすることになったため。


まず、輪読会のお題が「一版と二版の記述差異を指摘した上で」ということで、どうやったら差異を漏れ無く効率的に見つけられるだろうか考え、まずはオーソドックスに目次を比較。してみて、ほとんどその体系・構成に変更がないことに驚かされました。本文を最初に読んでいる時は、フェアユースフェアユース連呼をしているような印象があり、第一版から大幅に書き換わったような印象だったのですが、それはパッと見の印象だけだったよう。もちろん、30条の2の付随対象著作物や、42条の3の公文書管理法等による保存等、第一版が出た後に大々的な法改正が施された権利制限規定は大幅に記述が追加されていますが、第一版時点での本書の完成度がいかに高かったかがわかります。

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目次で差異が掴みにくいとなると・・・索引か?ということで、索引も第一版と比較してみると、キーワードレベルだけでみてもかなり増量(83件増)していることがわかります。あわせて、判例索引も比較してみたところ、平成18年以降の判例が新たに追加されている(73件増)のは当然として、平成17年以前も14件の判例が追加(4件削除)されていました。

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こうやって差分を追いかけて行くだけでも、私のような浅学な者でも著作権法学の変遷が垣間見えてきます。たとえば、頒布権と消尽の論点について、

しかしながら、この問題は立法時には想定すらできなかった事態を扱っており、<<実質的には>>法が欠缺している分野と見ることもでき、その意味で判決の理論構成が区々に分かれているのはやむを得ぬことである。究極的には立法的解決によるべきかもしれないが、それまでの間は、最高裁判決のような立法的論的解釈論にならざるを得ず、最高裁の結論は、著作権が経済財的要素を強めている現在では妥当なものといえよう。

このような(大変失礼ながら)立法論への逃げとも見える記述が、

しかしながら、映画の頒布権は劇場用映画の特殊性から例外的に認められたものであり、劇場用映画とは全く異なった流通形態をもつゲームソフトのような通常の流通形態の商品にまで同じ論理で規整することには問題がある。この問題は立法時には想定すらできなかった事態を扱っており、<<実質的には>>法が欠缺している分野と見ることもでき、その意味で判決の理論構成が区々に分かれているのはやむを得ぬことである。敢えて言えば、知的財産法における消尽は必ずしも条文に書かれているとは限らず、一部を除いて解釈で認められていることからして、26条では消尽についてなんら規定されておらず、解釈に委ねられていると考えることも可能である。それまでの間は、最高裁判決のような立法的論的解釈論にならざるを得ず、最高裁の結論は、著作権が経済財的要素を強めている現在では妥当なものといえよう。
ただ近年は映画のデジタル化が進み、映画のマスターフィルムからプリントフィルム(複製物)を作成し、それを各映画館に配るというビジネス・モデルは少なくなり、デジタル方式で各映画館に電子配信されることが増えた。そうなると技術的手段の発展により、映画館に映画の複製物の譲渡や貸与(頒布)をするという行為自体がなくなり、映画館としても物理的に映画の複製物を他に譲渡や貸与ができず、26条で規定されている頒布権の出番がなくなる。劇場用映画以外の映画に26条の適用が判例上否定された現在、26条の意義はなくなると言えよう。ただ現在でも旧来の方式であるフィルムの配給も皆無ではなく、その限りでは頒布権の意味が残存している。

と踏み込んでいたり。


さらに、3周目からはメンバー向けレクチャーのために、これまでの私なら絶対にしなかった「マーキング」をしながらの読み込み。覚えるべき定義や判例通説は赤、論点となっているところは紫と塗り分けているのは、某予備校H講師の授業の影響であります。こうやって作業してみると、本書が予備校のテキストなみに論点・通説・自説がくっきりと丁寧に書き分けられていて、初学者の学習用としてもすばらしい本だということをしみじみ感じました。

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一人で著作権法の基本書を読みこむことほどヤル気が起きないことはありませんが、このタイミングでこういうきっかけを頂いてやり終えて、自分のためにも良かったと思っています。