昨日に続きライセンス契約ブートキャンプ。

私の記憶が確かならば、約1年前ぐらいに @setagayan さんがtweetされていてその存在を知った一冊。ということで新刊ではないものの、改訂版は2012年に出版されたもので、ライセンス契約の実務書の中では比較的フレッシュな方です。





著者の石田正泰さんは、凸版印刷の法務部門トップとして取締役も務められた方。今も、知財系のセミナーで講師等を務められているようです。

ライセンス契約の実務書によく見られる、さまざまなパターンのひな形を披露してその逐条解説に終始するものとは違い、特許/商標・意匠/著作物/キャラクター/共同研究開発といった類型ごとに、その目的・戦略に沿って地道に積み上げて契約書を作ろうという丁寧な姿勢が特徴。昨日の記事で言及した、ライセンスの対象を権利としてきちんと分解し捉えていく態度についても、この本から学ぶべきことがたくさんあります。そういった体系的思考がバックボーンに感じられる一方で、著者の頭の中の課題意識が殴り書きされた箇条書きノートがそのまま印刷されたような記述もそこかしこに見られ、その凸凹感がこの本の味にもなっています。やや冗長な記述が多い点は、お口に合わない読者もいらっしゃるかもしれません。

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巻末のほうに収録されている「知的財産契約ケーススタディー」×21講は、法令と実務の狭間で問題となりがちな論点を体系にこだわらずにストレートに汲み上げたもの。「昔、こんな案件があってさぁ。あのときは大変だったよ・・・」なんて、先輩がOJTの合間に聞かせてくれる経験談(武勇伝ともいう)に耳を傾けているような、そんな風情が漂います。ライセンス契約における特許保証問題や、改良した発明のグラントバックの様々なパターンと独禁法上の視点がケーススタディー形式で取り上げられ整理されているところなどは、似たような問題に初めて出くわして面食らうばかりだったあの頃の自分に見せてあげたい感じ。

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もっとも、ふつうの実務書らしい一面もあります。たとえばライセンス契約条項のチェックリスト的なものは、使い方には注意しなければ危険とは言っても、やはりあるとありがたいものです。

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こうして改めて全体を通して読みなおしてみると、ライセンス契約をウン十年やってきた先輩が隠しもっていた虎の巻を覗かせていただいているような、そんな本ですね。