Google会長を務めるエリック・シュミットが共著者として自ら筆を取ったこの本に、Google法務の仕事に対するアプローチが披露されていました。
商品を仕様書どおりに作り続ければ売上がコンスタントに上がっていた高度経済成長期の企業法務ならいざしらず、消費者から当たり前のように変化と進化を求め続けられる今の時代には、職務分掌規程に法務の仕事の範囲を定義すること自体が難しくなっていて当然だと思います。
こういう時代に求められる企業法務パーソン=“カウボーイ”たりえる人は、引用部の最後にも述べられているように、
・最初からメンバーの一人として呼ばれるだけの信頼と、
・法律の仕事という枠にとらわれずにバックアップする姿勢、さらに
・実際にそれが遂行できるゼネラリストとしての能力
を兼ね備えた人。経営から「彼・彼女なら法律の勘所を抑えた上で、他のメンバーに足りない部分の穴埋めも含め、うまく立ち回ってくれるはず」という期待が寄せられる人には、自ずと情報が集まり、その情報をもとに正しいアドバイス=法務としての価値の高いアウトプットが提供できるという好循環が生まれ、次のプロジェクトにも欠かせない法務パーソンに自然となっていきます。
「そろそろ最終稟議のフェーズなので、法務部門からも毎週月曜やっている定例会議にどなたか一人顔を出していただけますか。どなたでもいいんで。」と、最後のほうでようやく声を掛けられるような“お供え物”法務になってしまっては、気は楽かもしれませんが、仕事は楽しくはなさそうです。
これはジョナサンが完成したばかりのグーグルの運動場を見に行ったときに撮影したものだ。標識には運動場の地図が示されているが、スペースの四分の一は免責条項に充てられている。(略)
弁護士のなかにはスマート・クリエイティブもたくさんいるので、こんな標識を社内で見たときには本当に驚いた。アメリカ産業界ではおなじみの、法律問題に対して過去を振り返りながらリスク回避を再優先に取り組むという姿勢は、インターネットの世紀には通用しない。企業の進化が法律の変化をはるかに上回るスピードで進むからだ。
西部劇には必ずカウボーイが馬を止め、周囲の状況を確かめ、次にどうするか決める場面がある。ケント(注:Google法務責任者のケント・ウォーカー)は部下の弁護士に、カウボーイと同じようにすればいい、とアドバイスする。ときには馬に乗り(もちろん比喩的に)、周囲の様子を素早く確かめたらさっさと先に進んでいいこともある、と。じっくり分析しなければならない決定(大型買収、法令順守の問題など)も多いが、常に馬を降り、起こり得る失敗とその結末を列挙した50ページものブリーフィング(どこがブリーフだ!)を作成する必要はないのだと頭に入れておこう。新しいプロジェクトの初期段階では、いずれにせよ分析が100%正しいことはあり得ない。そういう状況で弁護士に求められるのは、すべての可能性を詳細に分析することではない。不確かな未来を探り、意思決定をする経営者に賢明かつ簡潔なアドバイスを提供することだ。そしてまた馬にまたがればいいんだ、相棒。
法務に関して“カウボーイ・ルール”がうまくいくのは、弁護士が必要に応じて呼ばれるのではなく、初めから経営チーム、プロダクトチームにメンバーとして参加しているときだ。しかも弁護士も適切な顔ぶれを選ぶ必要がある。だからグーグルの創業初期にはなるべくスペシャリストではなくゼネラリストを採用し、また法律事務所や企業、場合によっては非営利団体など幅広く人材を求めた(とはいえ新卒の弁護士はめったに採らなかった)。
商品を仕様書どおりに作り続ければ売上がコンスタントに上がっていた高度経済成長期の企業法務ならいざしらず、消費者から当たり前のように変化と進化を求め続けられる今の時代には、職務分掌規程に法務の仕事の範囲を定義すること自体が難しくなっていて当然だと思います。
こういう時代に求められる企業法務パーソン=“カウボーイ”たりえる人は、引用部の最後にも述べられているように、
・最初からメンバーの一人として呼ばれるだけの信頼と、
・法律の仕事という枠にとらわれずにバックアップする姿勢、さらに
・実際にそれが遂行できるゼネラリストとしての能力
を兼ね備えた人。経営から「彼・彼女なら法律の勘所を抑えた上で、他のメンバーに足りない部分の穴埋めも含め、うまく立ち回ってくれるはず」という期待が寄せられる人には、自ずと情報が集まり、その情報をもとに正しいアドバイス=法務としての価値の高いアウトプットが提供できるという好循環が生まれ、次のプロジェクトにも欠かせない法務パーソンに自然となっていきます。
「そろそろ最終稟議のフェーズなので、法務部門からも毎週月曜やっている定例会議にどなたか一人顔を出していただけますか。どなたでもいいんで。」と、最後のほうでようやく声を掛けられるような“お供え物”法務になってしまっては、気は楽かもしれませんが、仕事は楽しくはなさそうです。











