Google Playのデベロッパー向け規約が改定されました。「カスタマー サポートの問い合わせには 3 営業日以内、ならびに Google によって緊急とされたサポートや対象製品の問題には 24 時間以内に対応」といった、ユーザー数を多く抱えるデベロッパーにはなかなかシビアな文言が入ったということで、アプリデベロッパーのみなさんも少々慌てていらっしゃるようです。


変更点はそれだけではありません。Googleさんによる「変更の概要」によりますと・・・。

  • 最小限のサービス水準の規定や正確な連絡先の要件など、デベロッパーがユーザーに提供すべきサポートレベルに関する要件を更新しました(第 3 条 6 項)。
  • ユーザーの居住地に最も適した Google 事業体によるアプリとゲームの販売および配布、および国際的な税制への変更に準拠するための新しい文言を追加しました(第 3 条)。詳しくは、こちらのページをご覧ください
  • Google Play でのサードパーティ アプリの販売および配布に関する規定をさらに明確にし、安全なエコシステムを維持するために第 4 条 5 項を更新しました。
  • Google でアプリをプロモーションする際に、デベロッパーが利用できるマーケティング機会を拡大しました(デベロッパーはデベロッパー コンソールの操作で、この設定を管理できます)。第 5 条 1 項および第 6 条 2 項をご覧ください。
  • アプリが端末やデータに深刻な損害や特定のセキュリティ リスクをもたらす可能性がある場合の、端末からのインストール済みアプリの削除に関する文言を追加しました(第 7 条 2 項)。
  • Google がより迅速にユーザーやデベロッパーに新しいサービス機能を提供できるように、デベロッパーの混乱を減らし、業界標準に適合するように契約の変更手続きを更新しました(第 14 条)。

さらに、こちらの記事にも掲載されていますが、デベロッパーのアカウント管理者向けに、以下のような案内メールも配信されています。

  • デベロッパーに求められるユーザーへのサポート水準に関する要件を更新しました。最低限のサービス水準に関する定義、正確な連絡先情報に関する要件などを追加しています(第 3.6 条)。
  • Google でアプリを公開するときにデベロッパーが利用できるマーケティングの機会を拡大しました(この設定はデベロッパー コンソールで管理できます)。第 5.1 条と第 6.2 条をご覧ください。
  • ユーザーの居住地に最も適した Google 事業体からのアプリとゲームの販売および配布をサポートし、国際課税に関する制度改正に準拠するという旨の文言を追加しました(第 3 条)。この更新に関して早急な対応は必要ありません。対応が必要になったときに改めてお知らせいたします。詳しくは、ヘルプセンターのこちらの記事をご覧ください。
  • 第 4.5 条を更新し、安全なエコシステムを維持できるよう Google Play でのサードパーティ アプリの販売と配布に関する規定をさらに明確にしました。
  • インストールしたアプリによって端末やデータに深刻な損害や確認済みのセキュリティ リスクがもたらされる可能性がある場合に、そのアプリを端末から削除することに関する文言を追加しました(第 7.2 条)。
  • 契約書の変更手続きを、デベロッパーにわかりやすく業界標準に適合したものとなるように更新しました。これにより、Google はユーザーやデベロッパーに新しいサービス機能をより迅速に提供できるようになります(第 14 条)。


と言っても、法務パーソンとしては、これらの当事者からの説明だけを鵜呑みにするわけにはいきません。どこがどのくらい変わったのか、実際に規約の文言をこの目で確かめてみよう!ということで、比較表を作成してみました。ウェブ公開にしてありますので、ご入用の方はご参考になさってください。ただし、右カラムの新規約には、旧規約からの変更履歴も残したため、開く際ちょっとファイルが重たく、ご利用の環境によってはフリーズする方もいらっしゃるかもしれませんので、ご注意ください。


Google Play デベロッパー規約 新旧対照表(変更履歴付き)

GooglePlay20140925



一番目を引くのは、エンドユーザーに対してデベロッパーが負うべき販売責任をこれまでよりもかなり強調した、3〜4条の変更です。Googleさんの説明では「国際的な税制への変更に準拠するための」とあります。Google Playでの販売に対する国際課税ルールの適用が日本でも問題となっていることについては、当ブログの記事「国際課税ルールの大転換とデジタルコンテンツ取引への影響」でもご紹介したとおりですが、今回、「対象製品はデベロッパーのために、デベロッパーが独自の判断で設定した価格でユーザーに対して表示されます。」「デベロッパーは、ストアを通じて販売する対象製品に対して最終販売責任を負う商業者(Merchant of Record)です。」といった文言が加わり、税制対応に乗じたカタチで、「あくまでデベロッパーが販売者であって、Googleは代理販売者でもコミッショネア(問屋)でもないのだ」という、プラットフォーマーとしてのAppleとのスタンスの違いがクリアになってきました。


玄人向けの細かいところでは、この業界のこの手のトピックに精通されている@yrikさんもtwitterで指摘されていらっしゃったのですが、4.5でGoogle Play以外の 野良ストアにエンドユーザーを流すための宣伝用アプリを明確に禁じてきた点も注目です。というか、そもそも今ままでこの規約上「Androidマーケット」と呼んでいたものを、今回の変更で「ストア」と名称変更し、さらに定義条項でそれはイコールGoogle Playのことを言うのであるとしているあたりに、もしかすると、これまで他の野良マーケットのやんちゃをある程度容認してきたGoogleさんが、そろそろスタンスを変えようとしているのではないだろうか?と感じたのは、私だけの穿った見方でしょうか。


純粋な法務目線で見た際に興味深いのは、14条の規約変更権に関する記述の修正です。以前のバージョンでは、Googleがデベロッパーアカウント管理者へのメール通知を行うことを最終通知手段としていたのが、今回の変更でそれを削除し、デベロッパーコンソール上での表示が最終通知とし、安全弁として継続利用をもってみなし同意とする文言を加えています。確かに、今の時代となってはメールはすでに連絡手段として重視されなくなっているとはいえ、Googleからは(プッシュ型通知という意味で)能動的な法的通知を行わないことに変更するのは、なかなかの勇気が必要だったのではないでしょうか。利用規約を一方的変更権が果たして法的にどこまで有効たりうるのかという議論もある中、さらに一歩踏み込んだこの規定がスタンダードになっていくのか、参考にさせていただきたいと思います。
 

また何か気づいたことがあれば、こちらに追記いたします。