法とコンピュータ学会の2014年7月版学会誌を入手。当然ながらパーソナルデータネタ盛りだくさんとなっていて、関心のある方も多いのではと思います。しかし、学会ウェブサイトは更新・運営の手が止まっている様子で、弁護士会館ブックセンターさんあたりに行かないと入手困難かもしれません。


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中でも、岡村久道先生の基調講演録(論稿+スライド)がアツかったです。個人情報保護法における容易照合性の判断基準について、提供元基準か提供先基準かという論争について、「政府解釈は提供元基準」ということですでに終止符が打たれたかのように早とちりしていた私でしたが、この講演では岡村先生が
・『石に泳ぐ魚』事件(最判ではなく東京高判平成13年2月15日のほう)
・長良川少年報道事件(最判平成15年3月14日)
・東京地判平成24年8月6日事件
・さいたま地判平成23年1月25日事件
等、プライバシー情報の公表や提供に関するいくつかの判例理論を分析した上で、やはり提供先基準と考えるのが適切であると力説されています。また、マサチューセッツ州知事の医療データが識別された事件に代表されるような、ネットやSNS上から入手しうる情報を用いて照合(link attacks)し再識別化されるケースにおける保護法の適用についても言及。


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法務パーソンとしてどちらに与するかは別として、日ごろは安全サイドに立って提供先での特定可能性も検討するのですが、考えてみれば「政府解釈は提供元基準」だからといって、司法においてもそれが踏襲されるという保証は無いわけです。個人情報保護法の容易照合性の判断基準について明言する最高裁判例が無い中では、岡村先生がここで取られているような裁判例を紐解くアプローチの方が正攻法では、という気もしました。


そしてもう一つ、「ビッグデータビジネスと程よいWebプライバシー」という、なんとも興味を引くタイトルの論稿が。こちらは通信事業者にお勤めの実務者の方による研究報告で、ネット広告エコシステムを転々流通する情報に、電気通信事業法(通信の秘密)と個人情報保護法を重畳して適用する必要があるのか?という論点。


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このアドテク×プライバシーという論点については、写真中の図にも表されているように登場人物(関係する事業者)が多く、理解するのをなかば放棄していた分野なのですが、遅まきながらきちんと勉強しておこうと、先日勉強会にも参加した次第。次回はその模様について書きたいと思います。