前回の記事を書いた後も、外国企業との秘密保持契約における注意義務の水準についていろいろ調べてるんですが、おなじBLJの過去記事だけみても面白い結果が。


まずはこちら。2013年1月特集「クロスボーダー契約のリスク NDA」の西村あさひ菅尋史先生の記事。

NDA_suga

自己情報と同一の注意義務が規定されている場合、自分のものと同様に大切に扱うという意味に誤解しがちである。しかし、無償寄託の規定(注:民法659条)からも分かるとおり、善管注意義務(with the care of good manager)よりも軽減された義務であるので、開示した秘密情報が受領者にぞんざいに扱われ、漏洩してしまう可能性が大きくなる。なお、英文契約ではreasonable care(合理的な注意義務)がよく用いられるが、善管注意義務に非常に近い意味(ほぼ同義)と考えられる。開示側からすれば、少なくとも、合理的な注意義務または善管注意義務を負わせておくべきである。

英文契約の解説でなぜ日本法の無償寄託の規定を引き合いに出すのかがちょっと解せないですが、いずれにせよ自己情報管理水準ではNGで、reasonable careあたりが落としどころとの解説。


一方で、2011年3月特集「英文秘密保持契約の起案・検討のしかた」の日比谷パーク原秋彦先生の記事がこちら。

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文例1では秘密情報の内容として、

use its commercially reasonable best efforts to cause its directors, officers, employees agents and other representatives to keep confidential

というような一般的な内容を記載するにとどまっているが、社内的にアクセスを許容されるものを限定するというように、努力義務の内容をダメ押し的に記載する例も見受けられる(文例2参照)。

文例2では、

with the same degree of care as it will use with regard to its own confidential information

としていることに違和感を覚える読者もおられるかもしれない。日本の民法上は自己自身のためにする注意義務は「善良な管理者の注意義務」よりも程度の軽いものと一般に理解されているからである。しかし、後者を「the duty of care of a good manger」と直訳したのでは、かえって外国人には意味が通りにくい。英語あるいは英米法での類似の概念「fiduciary duty」(信任関係上の義務)であり、より具体的に表現するとなると上述のように表現することが通例である。

英米法上は自己情報水準がむしろ正しい、との原先生解説。菅先生とまったく逆のことをおっしゃってます。これは・・・。


引き続き、他誌からも探してみたいと思います。みなさまからも情報いただけますと助かります。