まだ年内2週間あるのでフライング気味ですが、今年一年の仕事を振り返ると、今までとはひと味違う「渉外」業務に携わったことが特に印象に残っています。
前職の放送通信/人材サービスは、業法に基づく認可・届出や法的規制が明確化された業界でしたので、省庁対応も業界団体の中でのふるまい方もあまり戸惑うことはなく、「渉外」と呼べるほどの業務ではありませんでした。対して今いるエンタメ業界は、明確な業法規制がなく自由でありながら、“おイタ”をすると厳しいご注意をいただくという、難しい間合いの中での事業運営。業界団体の先輩方にトーン&マナーを伺いながら、某公聴会にお呼ばれして出席したり、自社で発生した問題について省庁に報告・相談に伺ったりと、まさに手探りの日々でした。
そんな中で、来年に向けてこの分野で何ができるか・何をすればいいのかについて、各企業で「渉外」「公共政策」を担当している方にお話を伺って勉強していたところに、@overbody_bizlaw 先生が「法律家によるルールメイキング関与の可能性はあるか??」を投稿してくださいました。ロビイングともPRとも違う、「公正・透明な方法で交渉し、合意を形成する」業務としてのパブリック・アフェアーズ。overbody先生とは、ブログの感想をお伝えしがてらお話しもしたのですが、
当該事業が法令上問題がないことを示すために、既存の法解釈を変えていく、またはこれまで議論のなかった曖昧な点を解釈で明らかにしていくことも当然含まれてくる。具体的なアクションとしては、まずは関係する行政当局にかかる立場の理解を求めていくのだろうし、最後のステップとしては裁判だろう。
この能力が求められる限り、法務パーソンがこの役割を担う必然性はあるだろうと、私も思っています。
一方で、先生もブログで紹介されている書籍『パブリック・アフェアーズ戦略』は、私がその役割を担わんとするにはまだまだ足りない要素を指摘してくれます。
役割として●がついているところを見ると、私は講演を求められることもなければ、書籍や論文の発表も(自分なりにはチャレンジしてきましたが)社会から専門性を評価されるレベルにはいたっていません。そして、やはり最も重要だなと思うのが、特定マスメディア・一般メディアを利用できるほどのメディアパワーを持っているかという点。こればかりは、自分の能力や経験だけでなく、自分が携わる事業に社会的意義が認められなければ持ち得ないのです。最近、同業他社最大手の渉外担当の方がマスメディアからたくさんの取材を受けていて、すごいなあと指をくわえて見ているのですが、それはやはり同社の事業が当業界において影響力を持っているからこそ。自分一人だけが専門性を高めてその道の有名人になって公共政策を唱えたところで、「馬耳東風」にスルーされるか、場合によっては「物言えば唇寒し秋の風」となることもあるかも。私の今の状況を鑑みるに、パブリック・アフェアーズを云々するより前に、自分が携わる事業がメディアパワーを持つぐらいの社会的意義を認めていただけるよう、目の前の事業サポートに集中するのが先と考え直した次第です。
法務パーソン×メディアパワーを持つ企業=パブリック・アフェアーズで思い出した話を最後に一つ。森・濱田松本法律事務所にいらした野口祐子先生が、なんとGoogle日本の法務に移籍されたそうです。弁護士会の登録も、すでにそのように変更されていました。ローレンス・レッシグに師事し、『デジタル時代の著作権』で未来の日本の著作権のあり方を具体的に提言され、日本におけるクリエイティブ・コモンズの普及活動を通じ若き知財関係者に多大な影響力を持つ野口先生。ご自身の思いを具体化するべく、今メディアパワーにおいて右に出るものはいない組織であるGoogleと「組んだ」ようにも見えます。Googleの法務としてだけでなく、IT業界知財パーソンの先駆者としての先生のますますのご活躍に、期待したいと思います。












