良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方 』は、いよいよ本日、正式に発売です。すでにAmazonで予約注文頂いている方々もたくさんいらっしゃると聞きますし、大型書店さんを中心に、PC関連書籍コーナー(本書は“法律書“ではなく、あくまで技術評論社さん発のウェブサービス開発・運営者向け“PC関連書籍”なのです)に平積み・面で先行展開してくださっている書店さんも多数。弁護士の伊藤雅浩先生(@redipsjp)には早くもブログでご紹介いただいたりと、みなさま本当にありがとうございます!



さて、今回の本は、弁護士の雨宮さん・ブログ「企業法務について」の片岡さん・そして私の3人による共著。昨年6月の、技術評論社編集の傳さんを交え初めて4人集まってのキックオフミーティングでは、「一緒に書けるのは心強いけれど、果たしてどれだけ時間をかければ3人の知識・経験・そして主張が1冊の本にまとまるんだろう?」と不安を感じていました。

結論を言えば、「Googleのお陰ですべてがスムーズに解決した」のですが、そこに至るには多少の“回り道”もありました。今日は、これからの新しい共著のスタイル・ウェブ上でのコラボレーションの実践例として、この本ができるまでの取り組みをご紹介したいと思います。

すべての原稿をGoogleドライブ上で執筆


まず、一番肝心な3人の原稿を書いて共有する方法としては、共著にありがちな「章ごと分担⇒章ごとに文章のノリが違って読みにくい」という事態にならないよう、
  • 最初にざっくりとした方向性についてディスカッション・意見交換した上で、
  • 次にコアとなる原稿を代表して一人が(Wordを使わずに)Googleドライブ上で執筆、
  • 修正履歴を残しながら全員でそれを遠慮無く何度も上書きして磨いていく
というスタイルを採用しました。

Wordファイルで書いてDropBox等で共有するという方法も考えたのですが、Googleの方がリアルタイムに変更した箇所が反映されていくだけでなく、いざとなれば前の人が書いた版にも簡単に戻せるので、安心して上書きができる点が大きかったです。自分が書いた原稿にコメントが入った際にリマインドメールを受け取るようにすることもできます。Wordを使った場合、2人ならまだしも3人でWordの原稿を交換しながらどこを反映させるかさせないかを議論していたら、すれ違いばかりが発生してまとまらなかったはずで、これは大正解だったと思います。結局Wordファイルを使ったのは、利用規約のひな形を法務有識者のみなさんにレビュー頂く際だけ。

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Facebookグループ機能はディスカッションには不向き → Google+へ


“回り道”というのは、そのコア原稿の方向性を決めるためのディスカッション・意見交換のツールとして、当初Facebookのグループ機能を利用したのですが、これがよくなかったという点。FBはまず基本的に動作が重く、さらに過去のグループ内の投稿を検索することも(そもそも投稿内検索をするための検索ボックスすらなく、Ctrl+Fのブラウザ内検索以外の方法では)できず、投稿表示も時系列がバラバラになってしまうので(いいね!の数が多いと表示順位が上がるニュースフィードの仕組みの欠陥)、「誰がいつ何を発言したか」を見失いがちで、コラボどころか逆にストレスすら感じる始末。

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そこで、8月下旬ごろに思い切ってディスカッションのツールをGoogle+に乗り換えました。Google+にはサークルという概念があり、投稿ごとに閲覧可能者を限定することができますので、4人だけのサークルを作りクローズドな意見交換を行えるようにしました。Google+であれば動きも軽く、過去の投稿も素早く検索でき、かつ当たり前ですが原稿執筆ツールとして当初から使っていたGoogleドライブとの相性も抜群によいため、これによりコミュニケーションのストレスはなくなりました。さらに、12月からはGoogle+にコミュニティ機能もでき、グループ内でテーマ毎にポストを分けられるようになったので、過去投稿の検索性・一覧性も高まったと思います。

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きわめつけはGoogleハングアウト


そしてなんといっても時代は変わったな・本当に便利になったなという思いを深くしたのは、ビデオチャットとしてのGoogleハングアウトの存在です。

ビデオチャットの王様と言えばSkypeですが、御存知の通り、Skypeでは誰かがプレミアムアカウントを持っていないと2拠点までしか同時通話ができません。一方でGoogleハングアウトでは、上述のGoogle+のアカウントさえあれば、アプリケーションを入れること無く、しかも無料で、10拠点までの多人数ビデオチャットができます。画質・音質もSkypeの比ではありません。共著者3人に加え編集者も加えた4人のビデオチャットともなると情報量もかなりのものとなり、特に音声の品質は会議の質に影響を与えますので、これには大変助けられました。これのおかげで、フェイス・トゥ・フェイスの打合せは初回のキックオフ含め3回ですませることができ、9〜11月の、特に私が転職直後で時間が取りにくかった時期に助けられた記憶があります。

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※私達がハングアウトしてる画像がなく、Googleさんの紹介ページから…


12月に最後の仕切り直しのフェイス・トゥ・フェイスミーティングを開き、これを受けて年末年始休みを使って大幅な書き直し作業に取り組み、年明けからはこの本の目玉となっている利用規約のひな形修正とその英訳に集中、2月いっぱいを3人での校正に当てて、本日、めでたく正式リリースにこぎつけることができました。最初から最後まで、まさに私たちの本のタイトルどおり、Googleが提供する「良いウェブサービス」に全面的に「支え」られた執筆となりました。

それと同時に、この体験を通じ、“共著”というこれまでのやり方では何かと障害の多かった仕事を容易にするツールが生まれたことで、「誰か一人の頭の中の棚卸し」がその工程のほとんどを占めていた本の執筆という行為が、「コラボレーションによる集合知の創発とその文字化」へと変わっていくようにも感じました。私自身、他のテーマでもこういったコラボ共著スタイルで書いてみたいなと、さっそく次の本の企画を練っているところです。
 

良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方 [単行本(ソフトカバー)]
著者:雨宮 美季・片岡 玄一・橋詰 卓司
出版: 技術評論社
(2013-03-19)