表紙の装いも新たに、さらに洗練されたBLJ。
デザインをよく見ると、特集の「クロスボーダー契約のリスク」にひっかけて、“CROSS”って書いてあるんですね!
BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2013年 01月号 [雑誌]販売元:レクシスネクシス
(2012-11-21)
販売元:Amazon.co.jp
このクロスボーダー特集もさることながら、もう一つの目玉記事「データ活用ビジネスとプライバシー問題」に、BLJ編集部のいつも以上の執念といいますか、約束したことは絶対守るというプロの意地を見せていただきました。
なんと・・・あのひろみちゅせんせこと、産業技術総合研究所主任研究員の高木浩光先生が登場しているのですアッー!
高木浩光先生が登場するに至った経緯のまとめ
経緯をたどれば、遡ること2011年10月。「app.tv事件」と呼ばれる、Androidアプリを使った不正情報アップロードの事件が発生します。いわゆるリワード広告のたぐいなのですが、悪質なことに、そのアプリの使用履歴だけでなく、アプリがインストールされた端末に入っている他のアプリの使用履歴までもが、製作運営会社である株式会社ミログに送信されるスパイウェアになっていた、というものでした。
第一発見者の崎山伸夫氏に続き、高木先生もこれを問題としてとりあげ、twitterとブログで糾弾。結果、株式会社ミログはこの事業を停止し、第三者委員会を設置して問題の精査を行います。しかし、この第三者委員会の報告書についても再度ブログに取り上げ「出鱈目である」と追求の手を緩めない高木氏。twitterを中心としたセキュリティクラスタの批判も日に日に大きくなり、2012年4月2日、ついにミログは会社を清算するにいたったのですが・・・。
誰もがそのミログの名前を忘れはじめていた8月、ビッグデータに関する特集記事を組んだBLJ10月号が発売されます。そこに、ミログの第三者委員会の委員の一人である達野大輔弁護士が、「ミログ第三者委員会報告書から考える プライバシー情報 ビジネス利用の問題」と題する記事を寄稿し、高木先生を中心とするセキュリティクラスタに対する反論を試みたのです(よせばいいのにを通り越して、なんという勇気といいますかむにゃむにゃw)。
これを見た高木先生、当然ながら再び反応します。
Business Law Journal 2012/10月号 businesslaw.jp/contents/20121… 「ミログ第三者委員会報告書から考える プライバシー情報 ビジネス利用の問題 達野大輔弁護士」は必ず読むこと。すごい。
— Hiromitsu Takagiさん (@HiromitsuTakagi) 9月 3, 2012.@blj_editor こんにちわ〜o(^^)o 当該記事に対する反論を貴誌に書かせて頂きたいです。(o^∇^o)
— Hiromitsu Takagiさん (@HiromitsuTakagi) 9月 4, 2012光栄です\(^O^)/一度打ち合わせさせていただけませんでしょうか(≧▽≦) RT @hiromitsutakagi: .@blj_editor こんにちわ〜o(^^)o 当該記事に対する反論を貴誌に書かせて頂きたいです。(o^∇^o)
— Business Law Journalさん (@BLJ_Editor) 9月 5, 2012私もリアルタイムにこの不気味な顔文字の応酬を見ていたのですが、達野先生も高木先生も懲りないなあと苦笑しながら、まさかBLJも高木先生のために再びプライバシー特集を組むとも思いませんでしたし、高木先生のtwitterのつぶやきも、半分冗談なんだろうなと思っていたわけです。それが、冗談では終わらず、こんなカタチで本当に実現されるとは、驚きました。

1)当該アプリの作成・頒布が不正指令電磁的記録に関する罪(刑法168条の2&3)にあたるか
2)かかる情報収集がプライバシー侵害として不法行為を構成するか
3)当該収集情報が個人情報保護法における「個人情報」に該当するか否か
本稿では、主にこの3つの観点のうちの1)について、第三者委員会報告書の“事実誤認”を指摘しながら、総務省の「第二次提言」を参照して丁寧な当てはめを行いその違法性を再度指摘。その上で、事業者がこのような事態にいたらないために留意すべきことを、同じく高木氏が以前より問題視していた「Tポイントツールバー」のケースにも照らしながら、忠告をする内容となっています。
願わくば2・3についても言及があればなあ、と残念な部分もありましたが、鈴木正朝先生と共著という形での、10ページにわたる力の入った論稿。まさに2012年10月号掲載の達野先生とのガチンコ勝負といった様相で、どちらに軍配が上がったかは読んでみてのお楽しみ。
森亮二先生のライフログプライバシー論稿も注目
と、どうしても派手な“直接対決”の方に目を奪われてしまうところではあるのですが、その高木・鈴木両先生の論稿の直前に掲載されている、森亮二先生による「ライフログ活用サービスにおけるプライバシー侵害リスクをどう検討すべきか」も、“そこが知りたい”を誰よりも早く言葉にしてしまうIT法務界の魔術師、森先生ならではのキャッチーな記事となっています。
ライフログを収集するビジネスに携わる多くの企業は
- 企業内での分析とその結果としての統計情報を広告等に流用するだけなのであって、生ログを公表するわけではない
- 氏名や住所等の基本属性情報を収集しておらず、したがって個人識別性がない

個人情報保護法がプライバシー保護法たり得ず、プライバシーを規定する具体的な法令がない日本。ベンチャー企業を中心に「クロともシロとも言えないグレーなうちに、プライバシー情報を使ってイノベーション()を起してしまえ」と暴走感すら漂うライフログビジネス界隈において、まさにそういったベンチャーの経営者さんこそ読む価値がある記事になっているかと。
というわけで、新年号にふさわしい見所いっぱいのBLJに拍手。












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