ビジネスパーソンが他人に語って喜ばれるのは、やはり「皆は知らないけど自分は知っている」情報でしょう。

特にホワイトカラーとして大企業で働く方ならば、何かしらその会社・業界特有のインサイダー情報を持っている・手にしうるもの。長くブログを続けているような方の多くは、自身の良識の範囲で隠語化しながらギリギリのラインで書いていらっしゃるようにお見受けする一方、twitterやmixi、はてな界隈では、自分が匿名化されているという誤った“安心感”からか、そういった良識・常識が働かず、炎上するケースが後を立ちません。管理する立場の企業も、ソーシャルメディアガイドラインを作れば従業員は守るはずというあり得ない性善説でこれをやり過ごすばかり。かくいう私も、こんなブログを7年も続けていますと、ときどきそんなインサイダーな情報で注目を集めたい欲求に駆られますし、ネタが切れ気味のときなどは手を出したくなる「麻薬」です。幸いにして(?)法務やコンプライアンスという仕事に携わっているというプレッシャーがあること、加えて数年前に実名ブログ化したことで、その欲求に勝てる(自然と自制できる)ようになりましたが…。

しかし、最近気になっているのは、ビジネスパーソンが上記のような無料メディアにとどまらず、有料メルマガのようなある程度クローズドな課金メディアの中で、そういったインサイダーな情報を商品化しだす流れが見受けられることです。見ているこちらとしては、ありがたい話・参考になる話が多いのですが、ドキドキすることも増えてきた気がします。「情報に対する課金」というこの流れはきっと止まらないでしょうから、注目やお金欲しさに素人のビジネスパーソンが匿名で有料メディアに情報を流して問題になることが今後増えていくことと予想します。

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では、ビジネスパーソンは公の場では何も書くな・しゃべるな、ということなのでしょうか?いや、そんなことはないはずです。自分の中で、このブログやtwitterへのつぶやきの判断基準としてなんとなく頭にあったことが、この本の中で明快な言葉でズバリ言い表されていました。


日本人はなぜ株で損するのか? (文春新書)日本人はなぜ株で損するのか? (文春新書)
著者:藤原 敬之
販売元:文藝春秋
(2011-12-15)
販売元:Amazon.co.jp


今でこそ銀行のALMでVaRは当たり前の道具とされていますが、三十年以上も前にその上司は『動態的金利感応度分析』という形で考案して農林中金のALMに導入した実績を持っていました。検査に入ってその存在を知った日銀が、あまりの先進性に驚いたと言われています。僕はこの上司から徹底的に学んでいきました。
彼から言われたことでその後の人生を決めた重要な言葉がありました。それは、
「藤原、情報のやり取りというのは、インサイダー情報を交換することじゃないんだぞ。互いの『切り口』の交換が本当の情報交換なんだぞ」というものだったのです。
この言葉のお陰で、僕は四半世紀も相場の世界で生きてこられたといっても過言ではありません。自分で考え自分のオリジナルな意見を作る努力を怠らないこと、それがプロの世界でいかに重要かということです。

ヤバイネタそのものをわからないように加工して話すのではなく、ヤバくないネタ(本の紹介・ニュース・身の回りの話題)を通し、自分がヤバイネタの中で体感した重要だと思う“切り口”を取り出して語る。

ビジネスパーソンのネット上の発信のスタイルとして、こういう風に心がけるだけでも、より安全かつ価値のある発信になるのではないかと思います。