Googleの利用規約変更が世界でちょっとした騒ぎを起こしたのは記憶に新しいところ。こんどはFacebookが利用規約の改定に向けて動いています。
3月から意見聴取が行われ、現在その意見を踏まえて再度改定案が提示されているところで、実際に変更となるのは9月が目処になるようですが、ほぼ間違いなくこのままリリースされることでしょう。そこで、何が変わったのか確認しやすくなるよう、Google利用規約の例によりまして、新旧対照表を作成してみましたので公開します。
▼Facebook利用規約 新旧対照表

Facebook自身が自社サイトで解説している改定背景も対照表の右側にコメントとしてつけています。併せてお読みください。
CNNの報道などでは若干ヒステリックな反応になっているものの、結論からいうと、この改定による一般ユーザーへの悪影響はほとんどないと申し上げてよいと思います。一方で、法務パーソンやweb上の利用規約の最新動向に興味がある方には、参考になるところがあるんじゃないかと思いました。例えばこんな2点。
<サービスの継続利用=みなし改定承諾>がスタンダードに
Facebookは、改定案に対して7,000件以上のコメントが寄せられた場合は投票による賛否を問い、その投票において30%以上反対意見が寄せられた場合には、その意見に拘束される、つまり改定を行わない旨を規約でうたっています。ユーザー側の立場としては極めて民主的だなあと思いつつも、企業法務側の立場としてはちょっと真面目すぎるんじゃないの?と思っていたのですが、今回、やっぱりFacebookもその手で来たかという規定の追加がありました。それがこれ。
14.改定
(略)
6. 利用者が弊社規約に変更があった後もFacebookの利用を継続した場合、修正された規約を承諾したものと見なします。
<サービスを継続利用する=利用規約改定の承諾とみなす>というアイデアはすでに多くのwebサービスの利用規約で採用されている考え方であり、多数のユーザーを抱えるサービスの承諾取得方法として合理的な落とし所ではないかと私も思っているところですが、Facebookが明確にこれを採用したことで、改定に対する承諾取得のスタンダードになったと言ってよいと思われます。
なお、Googleも3月に利用規約を改定していますが、言い方こそ違えどこんな文言で同様に継続利用を承諾とみなすスキームを採用しています。
Google は、たとえば、法律の改正または本サービスの変更を反映するために、本サービスに適用する本規約または特定の本サービスについての追加規定を修正することがあります。ユーザーは定期的に本規約をご確認ください。Google は、本規約の修正に関する通知をこのページに表示します。追加規定の修正については、該当する本サービス内において通知を表示します。変更は、さかのぼって適用されることはなく、その変更が表示されてから 14 日以降に発効します。ただし、本サービスの新機能に対処する変更または法律上の理由に基づく変更は、直ちに発効するものとします。本サービスに関する修正された規定に同意しないユーザーは、本サービスの利用を停止してください。
それでもこのようなみなし承諾では心配だという法務パーソンには、「敢えて契約期間を設けて改定後に異議なく更新したらその時に当然に同意とみなす」という安全策をお薦めします。
改定案に対するユーザーの意見を(本当に)反映させた
上記のような文言の追加を見ると、あらかじめ改訂案を提示して意見を募る“公聴”プロセスがなんだか形式的で、ユーザーの不満をそらすガス抜きが真意なのではとついつい穿った見方をしてしまうんですが、実はFacebookが寄せられた反対意見を実際に取り入れて改定案を修正している点があります。
3月に提示された改訂案には、17.4に以下のような文言が追加されていました。
17. 米国外のユーザーに適用される特別規定
(略)
4. 特定の地域では、Facebookのサービスや機能の一部またはすべてが利用できないことがあります。弊社は、独自の裁量により、サービスまたは機能の提供を除外または制限する権利を留保します。
これは、特に最近になってドイツ等でGoogleのサービスが著作権法違反に問われていることなど、グローバルに同一のサービスを展開する保証は法律的にはできないということについて、留保条件をつけようとした文言なのではないかというのが私の推測です。しかし、この文言の追加が「国の意向に沿って検閲を行うことを意図しているんじゃないか」と食いついたユーザーがいたようです。その意見に対し、Facebookは以下のように文言の追加をあきらめることを決定しています。以下はFacebookのサイトより。
Q: セクション17.4の追加は、ユーザーや活動家によるFacebookの利用を検閲する場合があることを意味しているのですか。
A: この変更案に対するユーザーのコメントを確認した後、弊社は追加規定が誤解されやすいものであると判断しました。変更案は、弊社のサービス提供が妨げられる状況を対象にすることを意図していました。たとえば、インターネットの障害が発生する、一部の地域において一部の機能が使用できなくなる、ある国の政権が弊社のサービスをブロックする、などの場合です。
このご意見に基づき、弊社はこの変更案の削除を決定しました。
一度発表した改定案を撤回するのは、法務的にはカッコ悪い事態です。ここで一歩引くということはしばらくはこの修正案を再提示することも難しくなるわけで、多少なりとも勇気がいることだと思いますが、口だけ・格好だけの“公聴システム”にしていない点は大変素晴らしいと思います。









