企業のマーケティングにおける独自性の重要さを訴えるこの本を読んでいるうちに、この本の本来のテーマからは外れて、ビジネスパーソンとしての「キャリアの独自性」はいつ生まれ、どうやって育まれているんだろう、とふと考えてしまいました。
独自性の発見著者:ジャック・トラウト
販売元:海と月社
(2011-04-28)
販売元:Amazon.co.jp
わたしたちがこの三十年言い続けてきたことの中心には、つねに差別化による独自性の確立があった。
それなら、もう独自性が重要なことは世の中に浸透しているだろうと思われるかもしれない。みんなが独自性を念頭において計画を立て、独自性を意識せずに仕事にかかるものなどいないのではないか、と。
ところが、そうではないのだ。
法務というのは、「つぶしが効く」キャリアと思われています。法律はなくならないし、誰にでもすぐ身につく類の知識・専門能力でもない。ビジネスと法律は切っても切れない関係。だからどこでもできるし引く手あまたでしょ?と。
しかしそれは幻想であって、法務経験があっても、同じ業界でない限り「つぶしが利く」ということはない、というのが私の持論です。
確かに転職市場を見ていると、営業職はその業界経験ありきでの募集がされているのに対し、法務の求人を見ていると業界経験を問うものがありません。一見すると確かに法務はつぶしが効きそうです。しかし、現実を見ると、通信業→人材業と渡り歩いた私が金融業の法務に誘われることはもはやないと断言できますし、周りを見ても、法務として転職して職責アップ・年収アップを勝ち取られている方は、製造業の法務の方は製造業に、IT業の法務の方はIT業に・・・と移ったパターンに限られているように感じます。
また、資格上はどんな領域でも担当できるはずの弁護士であっても、ある程度自分の得意顧客の領域に専門特化していくうちに良く言えば「金融関係なら○○さん」というブランドが、悪く言えば「○○さんはエンタメ系はあまり得意じゃなさそう」というレッテルが(本人の能力如何にかかわらず)貼られていくのも、同様の理由かと思います。
つまり、その人の強みとなる「キャリアの独自性」とは、業界特有の商習慣と、その業界をとりまく顧客・取引先によって育まれるものなのではないかと。そう考えると、自分がどの「業界」に身を置くかを決めることは、ビジネスパーソンのキャリア形成においてとても重要な選択となるわけです。
よく「目の前の仕事を一生懸命こなしているうちに、気づいたら高みにいた」「キャリアは作るものでなく、振り返るとできているもの」という成功者のコメントを目にしますが、これらも同一業界に身を置いて修行し続けることが前提であって、途中で業界を変えてしまうことは、ビジネスパーソンとしてのキャリアを育むという観点では、リスクが高いように思います。
日頃そんなこと意識していなくても、自分の好きなことを選択し続けているうちに、結果的に所属する業界が固定されていくのだと思いますが、もしこれを読んでいる読者の方が就職・転職を考えている方(特に新卒の方)なのであれば、自分が身を置く業界がキャリアに大きく影響するということを意識して就職・転職先を選ぶことが、その会社の大きさや社風なんかにこだわるよりよっぽど重要ということは、視点の一つとしてもっておかれても良いのでは。
ところで、通信から人材へ、BtoBからBtoCへと渡り歩いてしまった私の独自性って一体・・・?









