“あの”高城 剛さんが、自分でQuestionを立てながらAnswerするというスタイルで自分を語る本。テイストとしては成毛さんの『大人げない大人になれ!』にすごく似てます。


私の名前は、高城剛。住所不定、職業不明私の名前は、高城剛。住所不定、職業不明
著者:高城 剛
販売元:マガジンハウス
(2011-02-24)
販売元:Amazon.co.jp


震災前から、トランク2つで世界を放浪しながら生きているという彼のノマド的生活について妻と注目し話題にはしていたものの、最近の報道で見る彼の姿も相まって、苦笑いまじりだったのも確か。しかし、大震災、巨大企業のリスクマネジメント能力の欠如、政府の機能不全という「想像の中の最悪の未来」を一気に目の当たりにしたからでしょうか、彼が144のQ&Aを通じて悪意なく描いていた未来のイメージのほとんどが、震災後の日本につきつけられた課題と重なって見えてきます。

試しに、働き方・ビジネス・法律に関して発言しているところをいくつか引用してご紹介してみましょう。


Q3 なぜ、定住しないのですか?
これには、様々な理由があります。まずは、不安定な時代のあらゆる危機やピンチに備えるためです。それは経済的・政治的危機、天災、それに個人的な問題すべてに言えます。
定住しないことが現代的ピンチを切り抜ける良い手だての一つであるのは、間違いありません。
また、フランスの才人ジャック・アタリは、今後地球人は動けない定住者と非定住者に大きく分かれていくだろうと言っています。彼は、二十一世紀の非定住民族のことを「ハイパーノマド」と呼んでいます。

Q17 これからの社会は、どうなると思いますか?
僕は過去20年にわたり、携帯電話が小さくなって耳に入るようになると、テレフォンのゴールは、テレパシーになる、と言っているように、人々の意識がいつか本当に「つながる」ことになると思います。それはツイッターのフォロワーや巷でいう「つながっている」などという安い発想とは、大きく異なります。本当に意識的に世界全員がつながることになると、それは、一切の隠しごとができず、悪いことが出来なくなる方向に向かっていることを意味します。
メディアの語源がメディウム=霊媒であり、またチャネラーとテレビのチャンネルが同じ意味を持つように、真のインフォメーションチャネリングが、誰でも容易にできるようになるでしょう。100年たつと個人情報保護は、まったく無意味になり、著作物も、すべて共有、になるでしょう。

Q56 不況の原因は、なんだとお考えですか?
僕の解釈では、グローバル化した社会の中での他国との法律の違いが一番大きいと思います。日本は条文化した法律に則っていますが、判例を積み重ねて法的判断に至る英米法のもとでは、フレキシブルな活動ができる。それが出遅れている要因でしょう。
そんなこともわからない世代の人たちにパワーが集中していることが、さらなる本質でしょう。だから、必要なのは政権交代じゃなくて世代交代。

Q97 失敗したときの対処方法は?
悪いことほど、早めにオープンにする。
失敗をごまかしたり隠したりすればするほど、経験上ですが物事は悪化します。
問題点に限らず、あらゆる物事をオープンにすることによって、人々がすべてを見ることができて、「あれとこれを足せるかも」のような統合しやすい環境になるので、結果相対的なパワーが増大します。秘密を増やせば増やすほど、あちこちに壁ができるので、パワーが落ちるのです。


彼の描く未来についての批評・解釈は野暮になりそうなので、読み手である皆さんにお任せしたいと思います。ただ読み終わってぼんやりと、彼のいうハイパーノマドな才能を、国境・法律・宗教の壁を超え率先して受け入れる・集める国が、これからの世界をリードする国になっていくのだろう。そして日本はそういう国になりえるのだろうか?そんなことを思いました。

s-caravan


オススメするのはちょっと勇気が入りますが(笑)、メディアで伝えられる彼のイメージに囚われずに読んでみる価値がある本だと思います。