このブログでは、2年前ぐらいからFacebook関連の法務ネタを数多く取り上げており、とりわけ利用規約関連のネタには注目するようにしています。最先端かつ成長著しいFacebookが抱える優秀な法務部隊の成果物である利用規約を通じて、明日の契約法務の課題が透けて見えるのではないかと思うからです。
そんなFacebookが、Data Use Policy(プライバシーポリシー)の変更に向けてドラフトを掲出し、意見収集を始めました。このドラフトにも、そんなエリート法務部隊の知恵と工夫が見え隠れしています。
▼Facebook Data Use Policy (draft)

今回の変更の特徴は以下3つ。
1)プレーンイングリッシュ
まず誰もが一読して分かるように、非常に読みやすい・易しい英語で書かれています。日本の中学生・高校生でも十分に読めるレベルです。
2)トグルスイッチ
一方、易しい言葉で説明をすることにはデメリットもあります。文章がどうしても長くなるということです。これをカバーする2つ目の工夫が、分り易い見出しの右側にある「+」「ー」印のトグルスイッチ。これを押すことで必要な文章が展開する仕組みです。
3)スクリーンショット
3つめに、スクリーンショットを多用していること。マニュアルにスクリーンショットを入れるのはもう当たり前の時代ですが、企業としての契約文書の一つであるプライバシーポリシーに入れている会社は、そうそうないでしょう。
この3つの特徴の中でユーザーから最も評価されるのは、おそらく1なのでしょう。しかし、法務的な視点で見ると、実は3のスクリーンショットを入れた点こそが、Facebook法務部隊が一番神経を使ったポイントだったはずと、私は確信しています。
通常、サービス業のプライバシーポリシーは、将来サービスが変更になっても読み替え・拡大解釈ができるよう(事業者としてのフレキシビリティを担保するために)、あえて“抽象度の高い文言”を積極的に使うものです。このために、いかにも契約文言チックな難しい書き振りと相まって、一般人には何を言っているのか分からない文章になります。これに対し、スクリーンショットを入れてポリシーを分かりやすく説明しようと思うと、必然的に画面に表示されたサービス用語と1対1の同じ言葉をポリシーの文言に盛り込むことになります。ということは、将来スクリーンショットで撮られた画面やサービスで使われる用語が変わったときには、機動的にプライバシーポリシーも変更する必要がでてくるわけです。
プライバシーポリシーを不動のものとしてその範囲でサービスを設計するのではなく、サービスの変化に応じ、面倒でもプライバシーポリシーを修正・メインテナンスしていく。Facebook法務部隊は、今回の変更でそれを改めて覚悟したのだと思います。これはサービス・顧客視点で見れば当たり前のようでいて、残念ながら普通の法務部門ではなかなか持てない発想であり、できない覚悟です。
(とはいえ、こんな「多少サービス変更していくのは許容してね」という文言を入れることも忘れていないあたり、さすが隙はありません。)
Granting us this permission not only allows us to provide Facebook as it exists today, but it also allows us to provide you with innovative features and services we develop in the future that use your information in new ways.
意見収集ページに集まったコメントを見ても、今回のプライバシーポリシー変更案には肯定的な意見が多いようです。中には“complaints and reports”入れ忘れてるんじゃない?なんて至極まっとうな指摘もあったり。超エリート集団のFacebook法務とはいえ、これだけたくさんのコメントが集まれば、気付かされることも多いはず。
サービスのスピードの速さに向き合い、そして高まり続けるユーザーの要望に向き合う覚悟を決めた契約法務のありかたが、このプライバシーポリシー変更案に見え隠れしています。









