法務ブロガーの中でも、ウイットに富んだネタでいつもみんなを楽しませてくれる『企業法務について』の@kataxさんと、意地でも毎日更新され不気味な存在感では誰にも負けない『dtk's blog』の@dtk1970さん。
お二人が示し合わせたようにブログで英文契約書の読み方を解説されていまして、これは私もなんかしなくちゃいけないんでしょうか?と強迫観念に駆られたわけですが、私如きが語るようなネタはもう残されておらず。
そんなおり、BLJ2月号では毎年楽しみな特集「法務のためのブックガイド」が。
『BUSINESS LAW JOURNAL (ビジネスロー・ジャーナル) 2011年 02月号
拝見させていただいたところ、本特集では“英文契約書”という括りではまとめられていない模様。ということで、法務ブロガーの英文契約書祭り×BLJ特集の双方に勝手に便乗企画、
英文契約書を読み書きしたい法務のためのブックガイド2011
をやってみたいと思います。

STAGE1 外国の契約法を理解する
『アメリカ契約法第2版
英文契約書を作りはじめる前に、英米法の考え方、特に準拠法の関係で登場頻度が高いと考えられる米国契約法の基本的な考え方を、日本法と比較しながら勉強しておくことは、英文契約書の検討をするようになる前のステップとして不可欠と考えます。しかし、残念ながらあまりにも学術的な本、古くてアップデートがされていない本ばかり。そんな中で唯一お勧めなのがこれです。本当はロースクール向けの英語の教科書読むべきなんでしょうけどね。
STAGE2 英文契約書のマナーと必須知識を覚える
『英文契約書作成のキーポイント
永遠の定番として外せない本。英文契約書のマナー、全体の構成(例:Whereas clauseの意味)、数字・日付の書き方、期間の表し方、以上・以下・未満の書き方、英文契約特有のラテン語由来表現(bona fide, pari passu, pro rata…)などなど、まさに契約書を読む・書くにあたっての英文契約書の必須知識が過不足なく詰め込まれています。
BLJでも多くの法務パーソンがオススメしていたとおり、持ってないとお話にならない感じ。
STAGE3 英文契約書を読み修正すべきポイントを契約類型毎に抑える
『英文契約書の基礎と使い方がわかる本
続いてのステージは、売買、請負、業務委託・・・といった契約類型ごとの読み方の勘処・ポイントを掴み、譲るべきでない重要なポイントについては変更を要求できるようになること。
このステージでのお勧め本はいろいろあって悩ましいのですが、私のお勧めはこれ。
初心者向けではあるものの、準拠法や裁判管轄などの一般条項のパートと契約類型ごとの注意ポイントがまとめられたパートがはっきりと分けてあり、契約の基礎知識が身についている法務2〜3年目の方にはとても読みやすいこと、この価格帯で14種もの契約書サンプルとポイント解説がコンパクトにまとめられている本はこの本をおいて他にないことがその理由。
STAGE4 典型条項を組み合わせて英文契約書を作成する
『英文契約書ドラフティングハンドブック
『英文契約書の基礎知識
英文契約書の全体構成、基本的な組み立て方、英語表現の特徴が分かったら、次は英文契約書の典型条項をパーツ毎に探して組み合わせながら、英文契約書を読んで修正するだけでなく、作成していく段階へ。
このステージでのお勧めはこの2冊。この2冊に出てくる定型表現をくまなくおさえれば、典型的な契約であればおおよそ直したいように直し・作成できるのでは、と思います。よほどの英文契約書の達人でもない限り、手元に置いておく価値のある2冊です。
STAGE5 モノマネではない英文契約書を自分で書く
『英文ビジネス契約書大辞典
パーツから組み立てるのではなく、自分で英文そのものを操りつつ英文契約書を作成するようになって、条項ではなく文・句レベルでよりよい表現はないかを探しだす中〜上級ステージに辿りついたら、行き着くのはこの本。
何せ高いですが、そのボリュームは現時点で日本一。どうせいつか買うのなら、早めに買っとくのが吉だと思います。
■番外編■
チェックリスト形式で契約書を作る
『国際取引契約実務マニュアル
売買契約しかカバーされていないという弱点はあるものの、正式契約を締結する前に結ぶMOUと正式な契約の両方を、チェックリスト形式で契約条件をチェックしていくだけで作成できるという画期的な本。
そのユニークなコンセプトと完成度は折り紙つきなんですが、残念ながら絶版。どこかで在庫を見つけたら、迷わず買っておくことをお勧めします。共著なので著作権法的には全員が同意しないと改版もできないことを考えると、可能性は低いと思われます。残念。
ライセンス契約も勉強しちゃう
『ライセンス契約のすべて
『ライセンス契約のすべて 実務応用編
英文契約の中でも圧倒的に頻度が高く、また契約期間が長期に渡るだけにドラフティングにいっそう気を使うライセンス契約については、(和文契約の解説も混ざっていますが)この2冊を是非読んでください。特に『実務応用編
なお、上記の本については、過去弊ブログでもう少し詳しくご紹介しています。もしご興味あればご覧ください。
▼アメリカ契約法第2版
▼英文契約書作成のキーポイント
▼英文契約書の基礎と使い方が分かる本
▼英文契約書ドラフティングハンドブック
▼英文契約書の基礎知識
▼英文ビジネス契約書大辞典
▼国際取引契約実務マニュアル
▼ライセンス契約のすべて
▼ライセンス契約のすべて 実務応用編










Book guideなるほどという感じです。山本先生の高いのを除いて(これは勤務先にある)、一通り持っています(樋口先生のは版が古いですが)。なお、ロースクールのテキストは授業で使うのが前提なので、ただ読むだけというのには適さないです。
しいてもう一冊あげれば、
http://www.amazon.co.jp/%E6%B3%95%E5%BE%8B%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E7%9F%A5%E8%AD%98-%E6%97%A9%E5%B7%9D-%E6%AD%A6%E5%A4%AB/dp/4785712686/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1292974929&sr=8-1
早川先生の一冊でしょう(手元には古い増補前のがあります)。英語の先生をされてから法学に転じられているので、英語に対する造詣の深さに驚かされます。