これだけインターネットを通じて著作物を創作・公開・共有することが簡単になってくると、著作権的に考えなきゃいけないことがこれからもいろいろ発生すると思います。
私はその中でも、以下述べる理由から、2010年はネット上での著作者人格権、特に同一性保持権というテーマがアツくなる予感がしていますが、中でも同一性保持権について、「パロディ・モンタージュ事件」や「ときめきメモリアル事件」などの親しみやすい判例を取り上げながら分析する本書を紹介します。
『同一性保持権の研究
ネット上アイデンティティ保護の重要性が高まる理由
以前、『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
▼『フリー』という価値観への変化に法律はついていけるのか(企業法務マンサバイバル)
発明や創作といった人間の活動は、“フリー”以前は特許権や著作権として貨幣価値と直接交換することを目的とされてきたわけですが、今まさに始まった“フリー”の時代には、そういった活動は「注目と評判」という新しい通貨と交換することが目的になっているというのが、この本における著者の主張。
そうなると、憲法13条から導かれるパブリシティ権・名誉権や、著作権法における氏名表示権・同一性保持権といった、今の法律ではまだ手薄というかあまり活躍してない権利に活躍してもらわなければならない時代になりそうです。
こんなふうに申しましたが、
この本で言われているように、著作物を創作する対価がお金でなく「注目と評判」で払われるようになると、これまでのように誰が金を受け取れるか(=著作財産権を誰か持っているか)は、あまり問題にならなくなります。日本版フェアユースの導入なんかも、加速度的に早まるのかもしれません。
その一方で、著作物の利用にはカネがかからないという部分的な理解だけが広まってしまうと、ネット上でも引用なんだかパクリなんだか改変なんだかすらも意識しなくなったりと、著作物の取り扱いが雑になるであろうことは、容易に想像できます。
こうなってくると、著作者の側としては、「注目と評判」を誰が受け取るべきか(=著作者人格権を持つアイデンティティは誰か)という視点で、これまでよりシビアに氏名表示権や同一性保持権を主張するようになるでしょう。
加えて、
著作物は、権力又は社会的な勢力によって変様を受け、同一性を侵害されかねない危険を有している。著作者の思想・良心・学問の自由・及びこれらを表現することの自由を保証するためには、著作者の名誉を確保する権利の保障が必須であり、これは人格の表出である著作物の改竄等を許さないという防波堤を必要とするものである。とこの本でも言及されていますが、私のブログもしかり、最近の政治家のtwitter利用しかり、ネット上で自分の思いを発表するという表現の自由に対する他人の関与・中傷・悪意を持った改竄という問題もこれまで以上に出てくると思われます。
ネット上での自社・自己のアイデンティティに対する侵害にどう対処するか。
日本版フェアユースの一歩先のテーマとして、著作権ビジネスに携わっているビジネスパーソンであればなおさら、1ユーザーとしてネットを使うに過ぎない方も、早いうちから深掘っておくに越したことはないテーマだと思います。









