広告表示に関するコンプライアンス的チェックポイントについて簡単にまとめていくシリーズ第二弾。
今回は、肖像権・氏名権に関するチェックポイントをまとめますが、その前にまずは権利の概要を簡単に。
肖像権・氏名権の概要
大きく分けて2つの支分権から成ります。
・人格権(プライバシー権)
無断で写真を撮影されたり、または無断で肖像・氏名を
公表されない権利。
・財産権(パブリシティ権)
肖像や氏名の利用をコントロールし、利用に対する対価を
受ける権利。
いずれも明文上の根拠はありませんが、日本では憲法13条の幸福追求権を根拠として、判例によって認められてきた権利です。
何せ明文にないので、保護期間も規定されていませんが、法益から考えればその人の生存中は少なくとも保護期間となるでしょう。
ただし、アメリカではLEGENDSと言って、著名人のパブリシティ権は死後も認められており、そういった歴史的著名人のパブリシティ権管理の代行会社が存在するほど。
たとえば、ジェーム・スディーンはThe Curtis Management Groupが管理していますし、キング牧師はCorbis Corporationが管理しているといった具合。ということは、こういった方々の保護期間は事実上「永遠」なのかもしれません。
パブリシティ権については物(動物や建築物)などにも拡大する傾向がみられています。しかし、物に人格権的権利は認めようがなく、判例では(苦し紛れに)所有権から派生する権利と判示されたこともありますが、これには疑問の声も強いところです。
財産権を侵害する不法行為としての損害賠償請求権にまで抽象化すれば保護法益は認められそうですが、物にパブリシティ権と呼べるような特別な保護を認めるのか認めないのか、認めるとしたら根拠法はなんなのかは、いまだ判然としません。
ということで、簡単にといいつつやや長くなりましたが、以下チェックポイントです。
1)著名人の名前を利用
「ミスチルの桜井もライブでこのギターを使ってます!」「蛯原友里さんもプライベートで弊社ブランドのネックレスをよく着用されてます」なんていう使い方は、代表的かつ一番やっちゃいがちなパブリシティ権侵害事例。
2)著名人の写真・似顔絵を利用
写真は無断で出せばモロに肖像権侵害というのは分かりやすいと思いますが、似顔絵に関しては微妙なところでしょう。
よくTVのモノマネ番組で写真の著作権に気を使って絵で出している例もありますけれど、あれも厳密にはパブリシティ権侵害。権利者側もさすがにそこまでは追及しないんでしょうけど…。ていうかモノマネ自体がパブリシティ権的にどうかという問題もあるか…。
3)歴史上の人物
冒頭の概要説明の中のLEGENDSがまさにこの例。日本でも子孫・遺族がいらっしゃれば許諾をとるべきでしょう。
4)スポーツ選手
プロサッカー選手は統一契約書によりJリーグが管理していますが、プロ野球選手については、昨年知財高裁で球団側に管理を認めた後、選手側が最高裁に上告しているので帰趨は不明。今のところは球団を通して選手とちゃんと契約するしかないのでしょう。
その他力士は財団法人日本相撲協会の許諾が必要、アマチュアスポーツ選手は、日本オリンピック協会が管理しているケースと個人事務所の場合に分かれます。
5)政治家
以前のエントリで、公務員は公務中であれば許諾不要との写真家協会の見解を紹介しましたが、政治家に関しては選挙運動期間中は公職選挙法の問題もあり、不用意に用いるべきではありません。
6)一般人
もちろん一般人であっても、人格権(プライバシー権)的側面から肖像権・氏名権はあります。私の業界では社員さんの写真なんかも許可なしには使わないように注意しています。
7)動物
物にパブリシティ権があるかないかについては、上述のとおりはっきりしないところがありますが、著名人と同様に有名な動物であれば、トラブルになると思った方がいいでしょう。
8)建築物・施設名
建築物・施設名も以前のエントリで触れましたが、パブリシティ権を根拠としていると思われる許諾/不許諾のポリシーは各所さまざま。以下私が知り得ている実際の事例です。
・ジブリ美術館
日本で最もパブリシティ権に厳しい施設と言われています。
地図の中に名称を示す場合も、三鷹の特集でもない限り不可
にしているとのことだそう。
・東京ディズニーリゾート
いかにも厳しそうですが、やはり写真はおろか、「東京ディ
ズニーリゾートにご招待」なんていう広告記載も記載不可と
しているそうです。もちろんリゾート内のアトラクションの
名前を広告に使うのも不可。オフィシャルスポンサーになっ
ている企業には認められるケースもあるようですが。
・東京タワー
写真も名前も事前申請。日本電波塔?まで。
・六本木ヒルズ
ここは事前許諾制。特に写真は撮影についても許諾が必要。
・幕張メッセ
写真は事前申請、名称は自由。施設のパブリシティ権管理
のポリシーとしては、この組み合わせがスタンダードで
しょうね。
次回はフリーライドについてまとめてみたいと思います。









