iPhoneでかなり高解像度の写真や動画が気軽に取れて、しかも撮った後に“即時”かつ書き捨てのメモのように“大量”にブログ、Twitpics、Youtubeにアップできる様になったことによって、撮られた後に「え、それどこにアップするつもり?」と公開する先が気になるようになりました。

低解像度・低速度なケータイで撮っていた“写メール”時代とはまた違って、肖像権・パブリシティ権の観点からは地味ながらも大きな敷居を跨いでしまったと思うんですね。そのわりに写真や動画に関する権利周りについて全然話題にならないなぁと。

そう思っていたところに、日本写真家協会さんが出しているこんな本を見つけました。肖像権とかパブリシティ権のことを説明するのは文字数がいくらあっても足りないですし、そもそも権利的にグレーゾーンも多く絶対的規範はありませんが、プロの写真家の「相場観」は私たちアマチュアにも参考になるかと思います。

スナップ写真のルールとマナー



この本に掲載されている66のケーススタディを読んでいると、肖像権やパブリシティ権の観点でプロのカメラマンが撮影時に気を使っているポイントは、だいたい5つに絞れるなんじゃないかということで、以下そのまとめです。


1.撮影していることが分かるように、堂々と構える

カメラ(iPhone)をしっかりと構えて、「撮影しています」ということを堂々とアピールするのがマナー。確かに、撮っていることが分かりさえすれば、撮られる方も嫌だったらフレームに入らないように避けられますね。
これをしないのは、プロのカメラマンの間では「チョロスナ」(チョロっと隠し撮りするスナップ写真の意らしい)と呼ばれるマナー違反行為だそうです。


2.素人を撮るときは一声かけてから

素人が被写体に入る場合、「撮らせて下さい」と一声かけて写真・動画としての利用について黙示の同意をとっておくのが最低限のルール。
ブログ等で公開するなら、「顔は分からないように画像処理するので、○○にアップさせてもらってよろしいですか」と明示の同意をとるのがベスト、と。


3.有名人・公務員を撮るときはプライベートでないことを確認

イベント時など、有名人であってもそれが仕事中のオンタイムの姿を撮影したものであれば肖像権は主張できない、というのがこの本の主張。ちなみに職務中の公務員も同様に肖像権は主張できないということです。
ただし、オンタイムのものであっても有名人の写真を無許可でブログ等にアップするのは、肖像権ではなくパブリシティ権上問題があるのでやめておけと。


4.撮影エリアに禁撮影表示がないか確認

コンサート会場などで撮影が禁止されたりカメラを取り上げられたりするのも、パブリシティ権が根拠とされています。
なお、ビルや展示美術品を私人が所有する敷地内や施設内で撮影する行為もやはりNG。この本では、毛利庭園から見上げる六本木ヒルズを撮影して警備員に制止される例が例として挙げられています。こちらは肖像権やパブリシティ権ではなくて、所有権者の物権的請求権に基づくものと解釈されています(最判昭和59年1月20日顔真卿自書建中告身帖事件など)。


5.商業利用とみなされて利用対価請求を受ける覚悟をもつ

それを言っちゃおしまいよ、かもしれませんが、一昔前と違いインターネットという誰もが不特定多数に発表する場ができた今、アマチュアであってもこんなプロ並みの覚悟が必要になってくる、と。


今はまだ、ネット上では著作権問題ばかりにみんな目を奪われていますが、iPhoneの普及率が高まり、動画が簡単に撮れる新型のiPod nanoも発売される中、著作権の次の権利問題として肖像権やパブリシティー権が問題になっていく予感がします。