このブログの左バナーには、私の中の教科書的なオススメ法律書を並べているコーナーを設置していますが、半年ぶりぐらいに入れ替えが発生しましたよ。

小川先生の2009-07-27 18:55:15のtwitterつぶやきによれば、
【法律裏話】漫画「ナニワ金融道」(青木雄二作)は、15年以上前に東京地裁の執行部修習をした際、同部非公式推薦図書だった。
だったそうですが、この本なら弁護士の木山先生が書かれていることですし、堂々と公式推薦図書にできるのでは?

漫画と小説という技法の違いはあるものの、『ナニワ金融道』なみの親しみやすさで、民事訴訟法の基本を理解させてくれる素晴らしい本かと。

小説で読む民事訴訟法―基礎からわかる民事訴訟法の手引き



訴訟用語は使って親しんだもの勝ち

法律事務所でアルバイトを始めたばかりの、ちょっとものわかりの悪い法学部3年生の主人公が、バイト先では若手弁護士に罵倒されながら、そして大学では勉強が一歩も二歩も進んでいるライバル達に刺激されながら負けじと訴訟法を学んでいくという、一見安易な設定なんですけれど、

私の経験上も、民事訴訟法をなんとか理解できるようになったのは、法務に配属され実際の紛争に出くわして準備書面の骨子をドラフトしたり、(有給休暇をとって見に行ったものも含めて)法廷見学するようになってからでしたし、訴訟当事者に限りなく近いこんな舞台設定じゃないと、訴訟法を漏れなく語るのはやっぱり難しいんでしょうね。

加えて、民事訴訟法の教科書的体系をまったく無視したその構成。何せ、7章に分けられた第1章のテーマが唐突に管轄から。まあ、確かに管轄は民事訴訟法の第一編総則に出て来るので最初に持ってくるのもアリだとしても、民事訴訟法の中心概念たる弁論主義は4章でようやく登場する始末ですし、教科書的には最初に出てくる訴え提起・訴えの種類にいたっては、なんと最終章で解説されるという。

一見脈絡のないようなこの構成で民事訴訟を学び直して改めて思ったのは、結局、民事訴訟法の理解の差というのは出て来る訴訟用語に親しんでいるかどうかの差であり、その親しみは理屈を理解して発生するものではなく使うことで発生するものであるということ。

民法などの「実体法」は体系的に学ぶ必要があるのかもしれませんが、民事訴訟法は「手続法」であって、訴訟という手続きに直面しなければ体得できないのだ、という当たり前の事実を再認識した次第。

自分の勉強のためだけに訴訟を起こせるわけもなく(とかいいながらそれに近いことをやってきたような気がしないでもない)、法律事務所でバイトするわけにもいかない(とかいいながらこの本を読んで週末だけでもやってみたいと思ったりもする)われわれビジネスパーソンには、この本がもってこいの疑似体験を提供してくれます。