発刊当時、三井物産の現役審査マンだった高任和夫さんのデビュー作。BUSINESS LAW JOURNAL 2月号の特集
「“審査”とは、財務諸表とにらめっこして取引にブレーキをかけるばかりの業務ではなく、時に営業以上に高度なクリエイティビティを求められる業務である。」
審査業務に対するそんな熱い思いが込められた、ビジネス小説です。
審査業務の醍醐味を鮮明に小説化
架空の商社・畿内商事の審査課長である千草が、取引先の信用不安・会社更生の申立に立ち向かう姿を通し、商社審査部というところがどのように情報を集め、営業とともに債権を保全・回収していくのかを描きます。
そして小説の中盤からは、会社更生手続の中で、主たる取引先であり債権者でもある畿内商事に対して過酷な負担を強いてくる裁判所との戦いを通じて、単なる保全・回収を超えたクリエイティビティを発揮し始める主人公の千草。
途中、船に積まれた重油の債権を回収するため、どこかの海を航海する船の行方を探し出し、動産売買先取特権に基づく物上代位を行使すべく船そのものを差し押さえに行くあたりは、やっぱ商社の審査部ならではだなあなんてロマンを感じてみたり、実はこの船の話が後の展開のうまい伏線になっていたり・・・
何度かこのblogでも書いてきたとおり、私は親会社に大手商社をもつ企業に育てられましたので、商社の審査部というところがどんなアグレッシブなことをしているのかは耳にしていたのですが、そうでもない限り、審査マンに対するイメージがこの本で大きく変わるのではないでしょうか。
そして日ごろ「取引審査業務はつまらない」と思っている審査担当の方にも、モチベーションアップのカンフル剤になると思います。










動産売買の先取特権に基づく物上代位を行使したのは、共栄実業に売却したモーターを回収するときだったと思います。