・差別とは何か、どうして生まれるのか
・日本とアメリカを比較してのアメリカにおける差別撤廃に
 向けた取組み
・経済学・心理学・哲学・人事管理の4つの側面からみた
 差別禁止へのアプローチ検討
・年齢、障害、性的指向、美醜(容姿)、性別といった
 差別の典型例別分析
・企業現場での取り組み先進事例(ベネッセ、資生堂、
 横河電気)
について、私の大好きな労働法学者である森戸先生を中心に、他各分野の専門家が著された本。


EU労働法政策雑記帳のhamachan先生も先日紹介されていました。
差別禁止法の新展開(EU労働法政策雑記帳)

差別という問題を様々な角度で捉え検討する、差別に対する視座・視野を広げるのに適した本になっています。


採用の局面は差別のるつぼ

社会生活において、人が人を差別してしまう瞬間はさまざまありますが、特に採用の局面というのは、差別の問題が最も発生しがちな局面です。

実際に採用現場に携わっていますと、残念ながらそんなシーンを垣間みることもしばしばです。

例えば、国籍・性別・年齢による差別は典型的な事例でしょう。

・○○国出身者は、一般的に仕事が雑で、日本人ならではの
 礼節を理解しないからNG
・一般職という職群を口実に、その実は営業事務職に女性しか
 採用しない
・能力・経験が要求水準を満たしていても、35才以上は書類を
 通さない
とか、そんな差別意識をもつ企業は少なからず存在しています。

原因の一つとして、日本においては「差別とは何か」を体系的に定義する法律がなく、男女雇用機会均等法や雇用対策法など、部分的・各論的に差別が禁止されているにすぎないことが挙げられます。

また、国家の成り立ち上、差別の典型的事例である人種や民族問題等もあまり意識されてこなかった日本では、人権や差別とといった問題について、一人ひとりが身近な問題として考えるきっかけに恵まれていなかったのかもしれません。


企業の人事に関わる者としての責任

日本全体として、人権や差別といった問題にこれまで疎かったのはやむを得ないとしても、人事部門の方や私のような人材サービスの職にある者は、
・差別とは何なのか
・どうして採用選考において差別が発生しがちなのか
・差別のない採用選考をどう実現していくか
について、人一倍考え抜く必要があると思っています。

最近では不景気で議論がどこかにふっとんでしまいましたが、日本でも労働人口減対策として移民受け入れ政策を取ることも検討されはじめました。国籍差別の問題などは、特に認識を改めておく必要があるでしょう。

そして、企業として(差別意識・問題意識なく)慣習的・無意識的に行っている差別的な選考があるのなら、是正を促すことから始めなければと思います。