ケース
Xの従業員Yが、12月1日より無断欠勤している。
12月4日、Xは貸金業者による差押通知を受け、同時にYからも連絡があり、多額の借金があり退職したいとの意向を確認した。
XはYに住宅資金を貸し付けておりその残高が500万円である一方、社内預金残高100万円、解雇時点での未払い給与40万円、退職金800万円となっている。住宅資金貸付についてはYの自宅土地建物に抵当権が設定されているほか、Yの妻Aが連帯保証している。
Aによれば、Yは12月1日にXに出社するため家を出たまま連絡が取れていないとのことである。
問題
Xが住宅資金融資を回収するにあたって考慮すべき法律上の規制と、それに抵触しない形での回収策を述べよ。
回答
労働基準法第24条により、未払い給与および退職金については、賃金債権としてYに直接支払う義務を負う。
また、民事執行法152条および政令により、賃金債権はその給付額の4分の1および給与については33万円を超えて差し押さえることができない。
従い、まずは社内預金100万円について、Yの住所地宛て配達証明付き内容証明郵便により相殺通知を送付することにより、住宅資金融資と相殺する。
給与については、銀行振込にYが同意している場合は33万円を振込により支払い、残り7万円は支払いを留保しておく。全額現金払いの場合はYが出社しないことを理由として全額支払いを留保する。
退職金も、Yの請求がない以上、支払いを留保する。なお、支払い請求があった場合は労働基準法第23条により7日以内に支払う義務がある点注意を要する。
このような形でY本人の連絡を文書により回答期限を切るなどして待ち、Yの妻Aにも本人が連絡無い場合抵当権の実行またはAへの請求もあり得る旨伝え牽制しつつ、Y本人の意思を引き出すことにより、退職金債権と住宅資金融資残額との相殺を図るべきである。
要復習ポイント(自分用)
・民事執行法152条 差押禁止債権
次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の
4分の3に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計
費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める
額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
1.(略)
2.給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの
性質を有する給与に係る債権
2退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、
その給付の4分の3に相当する部分は、差し押さえてはなら
ない。
・民事執行施行令第2条
2賞与及びその性質を有する給与に係る債権に係る
法第152条第1項の政令で定める額は、33万円とする。
参考文献
・Amazonから届いたばかりでまだ詳細まで読んでないんですが、
早速民事執行法が出てきたので。
(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case38を基に検討)









