ケース

信販会社甲は、自動車販売会社乙が望んだ場合、その顧客が甲のローンを利用できる加盟店契約(立替払い委託契約)を結んだ。
契約の内容は、乙から自動車を購入した顧客との間で甲がその顧客に代わり自動車代金を乙に支払い、顧客は甲に対してその立替金に手数料を加算した額を分割して支払うものである。
この立替払い委託契約には、甲が顧客に対する債権を保全できるよう、顧客が購入した自動車の所有権を留保する旨の特約をが定められている。

顧客丙が甲のローンを利用し、乙から自動車を購入した。契約に基づき、自動車の所有権は甲に留保されていたが、所有登録名義は丙とされた。
今回丙が甲に対する分割金の支払いを遅延したため、甲は自動車の処分禁止の仮処分の手続きをとり、その登録がなされた。ところがその直後、丙から第三者丁に自動車が転売されたということで、所有登録名義が丁に変更されたとして、所有登録名簿が丁に移転された。


問題

甲の担当者として、丙に対して自動車の返還請求を行うための法律上の検討を行い、丁を説得する法的理論を整理せよ(手続き上の問題点を除く)


回答

甲が設定した所有権留保と、転得者である丁への所有権の移転のどちらが優先するかが法律上問題となる。
甲は、丙との契約において、自動車に対し所有権留保特約を定め、分割金の支払金を遅延している立場であり、甲と丙との関係においては本件自動車は特約により甲に所有権が帰属しているといってよい。一方、丁も丙から本件自動車の所有権移転の登録を受けている。
自動車の所有権帰属については、所有登録制度が設けられており、即時取得よりも登録制度が優先される。従い、このような場合登録を先に備えた方が優先することとなる。
しかし、丁の所有権移転の登録は、甲が自動車の処分禁止の仮処分の登録を行った後に行われている。このことから、丁は甲に対抗できないというべきである。


要復習ポイント(自分用メモ)

・自動車の所有登録制度について。
 例えば本問のような所有権留保特約をつけて自動車を販売する
 場合、所有登録名義は購入者にしてしまうのが実務?


(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case25を基に検討)


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