『ザ・ゴール』のTOC理論で一躍日本でも有名になったエリヤフ・ゴールドラット博士によるシリーズ第6弾。


Amazonビジネス書ランキングでも2位(11/21現在)と好調のようです。


科学者が出した生産性を下げる根本原因=人間の他責性

この本では、アパレルや食料品業界を例に、取引において
・一気に、大量に小売店に卸売りしたいメーカー、
・売れ筋・死に筋を見極めるまでリスクを負わないよう、
 メーカーから少量ずつ仕入れたい小売店
という、一見対立関係にある者同士にも、必ずWin-Winの関係になるポイントがあること、しかもそれは複雑に見える“対立”の中にこそあるということを説きます。

しかも今回のゴールドラット博士が一味違うのは、この“対立”を一見解決不可能なほど複雑に見せる原因が、
「人には、他人を責める習性があること」
すなわち他責性という人間の習性にあることまで言及している点です。

胸がすくほどの科学的なアプローチで経営課題を解決するのが特徴のこのシリーズで、科学者であるゴールドラット博士から人間の習性という言葉を聞かされるとは思っておらず、意表を疲れたようで少し驚きました。

そしてこの他責性を諸悪の根源とする考え方をベースとして、『7つの習慣』をはじめとする多くのビジネス書で是とされるWin-Winという考え方に焦点が当てられていきます。


『7つの習慣』では読み取れなかったWin-Winの本質を理解する

Win-Winになれば素晴らしいと分かっているのに、なぜそれができないのか、Win-Winなんて所詮奇麗事ではないか、考えたことはありませんか?

この本では、Win-Winの本家本元と言っても過言ではない『7つの習慣』以上に、Win-Winの追求方法について明晰な言語化に挑みます。
自分たちのウィンを大きくしたければ、相手のウィンももっと大きくしてあげなければならない。相手が考えているよりもはるかに大きなウィンだ。しかし、そのようなウィンを見つけることは、はたしていつまでも可能なのだろうか。
もし、そのようなウィンが存在するとするなら、なぜ相手は最初からそれを求めてこないのだろうか。それほど重要なことなら、なぜ要求してこないのだろうか。
そして、私はあることを思い出した。前に述べたことだが、人は、慢性的な大きな問題、解決するのはもう無理だと諦めてしまった問題をカモフラージュしようと、ある種の防衛メカニズムを構築してしまう。そうしたメカニズムが出来上がってしまうと、人の期待感というものは低くなってしまう。そして、人は大きなニーズに対して鈍感になってしまう。そのようなニーズを満たす方法などありえないと期待感は低く、あえて求めようとはしないのだ。

ゴールドラット博士は、“ある種の防衛メカニズム”が人間の他責性によって発動されることで、Win-Winの関係作りが阻害されると言っています。

ならば、この“防衛メカニズム”を乗り越えなければなりません。そのためにわれわれは何をすべきか。

それは、
・他責の考え方に侵された相手を責めるのではなく、
・相手の懐に入り込み、その防衛メカニズムのせいで周りがよく
 見えなくなってしまっている相手の状況をよく理解し、
・相手の代わりに、相手の大切なニーズをどうしたら満たせるか
 を考える
ことにあると。

この本を読んでから『7つの習慣』を読み直すと、スティーブン・R・コヴィーもこのことを伝えようとしていたことがよく分かります。



『7つの習慣』に出会ってから8年。
遅まきながら、この本のおかげで漸くWin-Winの本質が自分の中で言語化できるところまで理解できた気がします。

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