ケース
Xは、マンションの住戸A・Bを従業員の社宅として分譲業者Yより購入、所有しているが、平成20年11月下旬に両物件の内装や設備に不具合(壁紙の亀裂、給湯管からの水漏れ、暖房の不良)が発見されたので、Yに対し修繕を要求しようとしている。
A物件は新築分譲物件として分譲業者Yから購入し、平成20年3月31日に引渡しを受けたもの。
XとYの売買契約には、以下の条項がある。
第12条(瑕疵担保責任)
売主は本物件の隠れた瑕疵については、引渡しの日から2年間担保の責任を負います。ただし、引渡し後の買主の責に帰すべき事由により、または天災地変その他不可抗力により生じた瑕疵については売主は担保の責を負いません。
第13条(アフターサービス)
本物件のアフターサービスについては、売主は別に定める「アフターサービス規程」に基づき行います。
アフターサービス規程概要
引渡しの日から内装は2年・設備は5年に限り、一定の内容の不良や破損・変形について無償で補修
またB物件は分譲業者Yの供給物件ではあるが、平成17年9月30日に引渡しを受け使用していたZから平成20年3月31日に取得したもので、Y−Z間の契約はY−X間の契約と同様である。Y−X間の売買契約には同様の瑕疵担保条項はあるものの、アフターサービス規程はなく、
第1条(契約の目的)との規定があるのみである。
売主は本物件を現状有姿のまま売り渡し買主はこれを買受ける
問題
宅地建物取引業法、品確法の適用は考慮しないものとし、以下の設問に答えよ。
設問(1)
瑕疵担保責任とアフターサービスについて、それぞれの法的意味と効果を説明した上で、XはA物件についてYにどのような請求ができるか述べよ。
設問(2)
XはA物件について早期に補修をしてもらえばよいと考えて、Yに申し出てアフターサービスとして直ちに補修を受けたが、後日当該箇所の漏水で家具等に損害が発生していることが判明した。この場合XはYに損害賠償を求めることはできるか。
設問(3)
Xは、B物件についてYに瑕疵担保責任やアフターサービスその他何らかの請求をすることができるか。
設問(4)
B物件の不具合について、XとZそれぞれの立場ではどのような法的主張・見解が考えられるか。
設問(5)
仮に、X−Z間の契約に瑕疵担保責任を負わない旨の特約を設けていた場合それは有効か。またZが不具合を認識した上で、このような特約を設けていた場合、Xとしてはどのような主張をすることになるか。
回答
設問(1)
売買契約における瑕疵担保責任とは、売買物件について通常満たすべき性能・品質について、買主が購入時に気づかないような隠れた瑕疵について売主としてその損害賠償の責任を負うものである。
一方、アフターサービスは、一定の条件のもとに無償で補修に応じるという準委任契約の一種であり、売買物件として満たすべき性能・品質とは紐づかない役務の提供である。
A物件について発生している壁紙の亀裂、給湯管からの水漏れ、暖房の不良はいずれも隠れた瑕疵といえ、瑕疵担保の期間内でもあることから、XはYに対し損害の賠償を求めることができる。
設問(2)
XはYに損害賠償を求めることはできる。
瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権とアフターサービス契約に基づく契約上の補修請求権とは異なるものであり、アフターサービス契約において物件の瑕疵の補修を対象外としていない限り、両方を請求することも可能と考えてよい。
設問(3)
XはB物件についてYと直接の契約関係にない。従い、Yには瑕疵担保責任もアフターサービスの責任もなく、Xはこれらを請求をすることはできないが、法的にはXがYに不法行為責任に基づき損害賠償を行う可能性は検討できる。
設問(4)
Xの立場では、B物件の不具合は瑕疵であり、瑕疵担保条項に基づいて損害賠償に応じるよう主張するものと考える。
Zの立場では、契約に規定されているとおり現状有姿での引渡しである以上、B物件に生じている不具合が瑕疵であっても責任はなく、またアフターサービスの規定もないことから、損害賠償・補修に応じる義務はないと主張するものと考える。
設問(5)
瑕疵担保責任を負わない旨の規定も有効である。ただし、Zが不具合を認識していた場合は、このような特約があっても瑕疵担保責任を負うこととなる(民法572条)。
要復習ポイント(自分用メモ)
・瑕疵担保責任には損害賠償請求権・契約解除権あれども、
瑕疵修補請求権は明文上なし。
・民法572条 悪意の売主の瑕疵担保責任の条文がすぐ出ず。
(ビジネス実務法務検定試験1級公式テキスト Case10を基に検討)









