テクニックではなく、あくまで法的観点から債権回収を語る本がないかを探し求めて、ようやく辿りついた本がこれ。
法律論としての債権回収法の集大成
(胡散臭い弁護士が書いている)債権回収をテクニック論で語る本は沢山ありますが、純粋に法律論から語ってくれる本は希少です。
それはなぜかといえば、
・民法
・民事執行法
・倒産法
という広大な法分野を縦横無尽に渡り歩きながら語るだけの力量がある民事法学者が少ないからだと思います。
その難行を見事にやってのけているのがこの本。
この目次とショットを見ていただければ、この本の雰囲気が伝わるでしょうか。
第1部 金銭債権からの債権回収
第1章 債権者代位権
第2章 債権者取消権
第3章 債権譲渡
第4章 相殺
第2部 動産からの債権回収
第5章 在庫担保
第6章 購入代金担保
第3部 不動産からの債権回収
第7章 占有型執行妨害
第8章 賃貸不動産
第9章 抵当不動産の任意売却
第4部 保証と債権回収
第10章 弁済代位
第11章 主債務者の免責
第12章 保証に関する特約
各章ごとに、冒頭“Scene”と称するケーススタディが2〜3問

続いて“Lecture”として講義部分のパートがあり

章の最後にその章で学んだ知識をベースとした設問“Exercise”と、ケーススタディ的な設問“Problem”が用意されています。


・集合債権譲渡担保や集合動産譲渡担保においては、対象を
どこまで特定すればよいか
・動産売買先取特権、抵当権の物上代位はどこまで及ぶか
といった担保権の法的限界についてこれ以上のないところまで突き詰めた議論を展開してくれるところなんかは、(債権回収の場面に出くわさない法務パーソンであっても)知的探究心がくすぐられることと思います。
東大院の講義で実際に使われているテキスト
この本は、著者が法学教室に連載した記事をもとに、東京大学大学院法学政治学研究科法曹養成専攻コースの民事法総合科目「債権回収法」の講義内容を加えてまとめたもの。
はしがきによると、森田先生は、SceneとLectureの部分は予習で理解しておくことを前提に、ExerciseとProblemを中心に1章(20〜30ページ)あたり100分で消化していっているらしいです。
当たり前ですが東大院だけあってハードですね。私の学生時代なんて、予習したことあったっけ?って感じでしたが。
何はともあれ、東大院以外でも、全国の法科大学院においてテキストとして指定している講座が数多くあるらしく、それもうなずける内容になっていますし、腕に覚えのある法務パーソンが読んでも結構ホネがある内容になっています。
この本をすらすら読め、設問が解けるとしたら、法務マンとしては間違いなくアッパークラスと言っていいでしょう。
ご自身の是非実力をお試しあれ。
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