民事訴訟を実際に担当したことのない法務パーソンって、実は結構多いのではないでしょうか。

トラブルが発生し、現場も「訴訟だ!」と最初は意気込んでいても、最終的には泣き寝入りしたり、役員の方針で(訴外の)和解をしたりというパターンは相当多いと思うんですよね。

私は、相手に自社を舐められたくないという思い、白黒はっきりけじめはつけたいという信条、自分自信の経験、そして訴訟経験の少ない後輩の教育のために、チャンスがあれば積極的に「訴訟に出るべし」と会社を動かすタイプ(笑)。
採算が合わない恐れのある150万〜300万前後の債権回収案件であっても、支払督促→訴訟に挑みます。

そんな喧嘩っ早い法務パーソンを力強くバックアップしてくれる良書がこちら。



弁護士にいい仕事をさせたいなら、訴訟のことも勉強しましょ

訴訟の進め方について解説している本はいくつかありますが、タイトルに「法務担当者のための〜」とあるように、企業の法務パーソンからみた視点で訴訟に必要な情報を集めている点が、この本の特色。

見開きページの左側に文章で訴訟の流れが、右側には関連するサンプル書式、用語解説、コラムなどが配されているのが読みやすさのポイント。
この形式は以前ご紹介した『債権回収基本のき』とそっくりなわけですが、マニュアルを作るときはこの形式が一番読み手にやさしいように思います。
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訴訟が始まり弁護士を選任すると、「口頭弁論期日」「準備書面」「弁論準備手続」など、言葉の意味をいちいち理解しなくても訴訟はつつがなく進んでいきます。高い金払って弁護士に委任してるんだからそれでいいや、という考え方もあるかもしれません。

しかし、弁護士を使う立場の法務パーソンとしては、最低でも訴訟の流れやそこで使われる言葉を知った上で弁護士とコミュニケーションを取れるようでなければ、訴訟の戦略をディスカッションすることはおろか、弁護士に緊張感を与えることすらできません。

訴訟実務を理解したうえで弁護士とコミュニケーションし、いい仕事をさせるという意味において、私は法務パーソンも訴訟実務をできるだけ勉強すべきだと思います。


訴訟実務に長けているあなたにも

訴訟経験をある程度お持ちの方にも、きっとこの本は参考になるでしょう。

たとえばこんなノウハウ。
企業能法務担当者として気をつけなければならないのは、自社の攻撃防御方法を積極的に基礎付ける意図で準備書面等において記載する内容を、稟議書、日記、備忘録などのもっぱら内部限りとして作成されていた文書から引用する場合があるが、これがのちに引用文書として文書提出命令の対象となって相手方の攻撃にさらされる可能性があるということである。
社内文書やメモも証拠に使えるといっても、何でもかんでも準備書面で言及すればいいというものではないという話ですね。

そして一番びっくりしたのがこの2つ。
判決を言い渡すに当たっては判決書が作成されているので、法廷での言渡後にすぐ判決正本の交付を受けることができる。注意すべきは、勝訴判決ならすぐ受領しても何も問題はないが、仮執行宣言付きの敗訴判決は受領してしまうと、その時点から相手方の強制執行が可能となることである。
実務的には、判決言渡期日には当事者は出席せず、まずは裁判所書記官に電話連絡した上で判決の内容を確認するのが一般的である。これは、判決が当事者にとって不利な内容である場合に、判決を言渡期日において受け取ってしまうと、その時点で判決を送達されたことになってしまい、控訴期間がその時点から起算される結果、控訴検討期間が短くなってしまうからである。
結構大手の弁護士事務所に世話になってるんですが、弁護士からこんな話聞いたことはありませんでしたよ…。むしろ判決言渡期日は自分も陪席して、勝訴の喜びを味うのを楽しみにしてたぐらいです(汗)。

その他、知的好奇心をくすぐるこんなトリビアも。
合議体では、法廷では、真ん中に座っているのが裁判長、左右に座るのが陪席裁判官であるが、傍聴席から見て左側に座るのが右陪席、向かって右側に座るのが左陪席であり、右陪席の法が、左陪席よりキャリアが長い。
どうでもいいっちゃいいトリビアですが、裁判の度に傍聴席で裁判官のマンウォッチングをしたり似顔絵を描いている私としては、あーそうだったのか!と。
そういえば司法修習生なんかが陪席するケースに何回か出くわしたことがありますが、確かに必ず向かって右側に座ってましたね。

実際の訴訟を進めながらこの本を読めば、これまで以上に興味深く訴訟実務を学べることは確実です。

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