参議院法制局部長という立場から、法令の読み解き方を解説する本。BUSINESS LAW JOURNAL9月号の書評欄を見て買ってみました。




用語知識≠読解知識

法令“用語”の基礎知識ではなく、法令“読解”の基礎知識としたところに、この本で伝えたい著者ならではの主張があります。

それは、

・主語はどこか、
・述語はどこか、
・条件文はどこからどこまでか、

といったことを意識して読めば、法令は誰にでもやさしく読み解けるということ。

法務部で契約書を何通も作っていると、お手本として法令の言葉使いや構造をまねることになるので、いやがおうにもこういった構造を意識する感覚が養われ、法令がスラスラ読めるようになるんですが、そういう機会がない方には、この本が説く読解のコツは目から鱗なのかもしれません。


「するものとする」の言い回しは危険

読解の話ばかりではなく、法令用語や法令に関する知識も満載されていて、やっぱりこれはこれで勉強になります。

この手の法令用語本は、前職で法務部に配属される前の総務にいたころ、先輩に進められて読んだ法令用語の常識以来久しぶりだったこともあり、曖昧になりがちだった法令用語の細かな知識がリフレッシュできました。

フムフムなポイントはいくつかあったのですが、中でも印象的だったのがこの「するものとする」という言葉遣いの解説。

「するものとする」は、「・・・とする」とよく似ていますが、法令上は独特のニュアンスを持つ用語として使われます。
(中略)
第2に、一定の行為を義務付ける場合に使われます。この場合、「しなければならない」ほど拘束力は強くなく、取り扱いの原則や方針を宣言するというニュアンスで使われています。場合によっては、合理的な理由があればこれに従わないことも許されることもあり得ます。

これまでレビューしてきた契約書の中で、「するものとする」という義務規定の書き方をしている契約書を何通見てきたことか。皆さんもありますよね?

契約書レビューのときは、語感・語呂のよさの問題ぐらいに捉えてスルーしていて、上司や先輩からは義務規定としての拘束力が落ちるような教えを受けたことはありませんでしたし、なんだか奥ゆかしい表現だなぐらいに思ってました。

立法者がこういう意識で使っている言葉遣いということであれば、条文解釈で争いになった場合は不利になる可能性があるんでしょうから、気をつけなければなりません。

金輪際、「するものとする」と書かれた契約書を見たら、スルーせず、徹底的に直すものとしますwww。

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