企業法務マンサバイバル

企業法務を中心とした法律に関する本・トピックのご紹介を通して、サバイバルな時代を生きるすべてのビジネスパーソンに貢献するブログ。

AIガバナンスの正体と"Human in the Loop"の不都合な真実

Claude CodeとCowork——AIが「作業する」時代のツール


Anthropicが提供するClaude CodeとCoworkというツールをご存知でしょうか。

Claude Codeは、ターミナル(テキストコマンドベースで操作する黒い画面)上で動くAIコーディングエージェントです。自然言語で指示を出すと、コードベースを理解し、ファイルを読み書きし、コマンドを実行し、Gitでバージョン管理までこなします。

2025年5月のリリース時点ではもっぱらエンジニア向けツールとみなされていたものの、だんだんと非エンジニアがファイル整理・リサーチ・文書作成に使い始めたことで、さらに話題になっています。

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そのClaude Codeの「何でも屋」ぶりを、技術に明るくない、ターミナルなんて触ったこともないような一般のビジネスパーソンにも開放したのがCoworkです。2026年1月に公開されたCoworkは、Claudeのデスクトップアプリ上で動くエージェンティックAIで、指定したフォルダにClaudeがアクセスし、ファイルの読み書き・作成・整理を自律的にやってくれます。

散らかったダウンロードフォルダの整理、レシートのスクリーンショットから経費スプレッドシートの作成、プレイブックに沿った契約書のレビュー・修正——そういった「人間がやると地味に時間がかかる作業」を、一度指示を投げるだけで試行錯誤を重ねながら完遂します。さらには、その作業過程で得た重要なルール・コツ・マナーをマニュアルやFAQとして自律的に書き起こし(都度アップデートもし)、次回以降はその通りに働いてくれます。人間以上に優秀な同僚・部下です。

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私もこの2つのツールをセットアップし、お試しではなく実際の仕事で使っています。そこで見えてきたのが、「AIガバナンス」の意外な正体でした。

「アジャイルガバナンス」を語る前に、まず触ってみませんか


さて、こうしたAIエージェント/エージェンティックAI時代のガバナンスについて、最近、法律専門家がこのように語っていらっしゃるのをいろいろなところで目にします。

法務面では、技術的に対応できない点についてカバーするルールを作成したり、必ず人間が最終確認・修正を行う「Human-in-the-loop」のルールを整備することなどが考えられます。
AIエージェントは、自律的にタスクを遂行し、学習や環境変化に応じて出力が変動し得る特性を持っています。そのため、組織全体として継続的にリスクを監視・評価し、改善し続ける「線(プロセス)」としてのガバナンス体制が不可欠です



アジャイルガバナンス、Human in the Loop、リスクベースアプローチ——整理された議論で、大きな方向性・フレームワークとしては正しいと思います。ただ、ひとつだけ気になることがあります。こうしたAIガバナンス論を唱えている方々は、実際にご自身でClaude CodeやCoworkをセットアップして、自分の代わりに仕事をさせているのだろうか?と。特に弁護士の先生方は、弁護士法・職務基本規程の守秘義務に加え法律事務所ならではの情報取扱いルールの厳しさなどもあって、たぶんまだ少数派ではないかと思うのです。

遊びやお試しではなく、実際の業務を本気でAIに任せようとすると、見える景色がかなり変わります。「組織全体として継続的に監視・評価」を考える前に、まずもっと手前の、泥臭い問題にぶつかるからです。このエージェントにどのフォルダを開放するか。メモリ、データウェアハウス、ブラウザ操作を代行するエクステンションといったリソースにどこまで触らせるか。そういった設計段階の判断ひとつでリスクの質がまるで変わってくることを、手を動かしていると肌で感じます。

「線(プロセス)としてのガバナンス」が大事なのはそのとおりなのですが、その線を引くための「点」——具体的な権限設計——を自分の手で触ったリアルな経験があるかないかで、議論の解像度はずいぶん違ってくるはずなのです。

AIガバナンスのはじめの一歩——「どの箱庭を与えるか」の設計


では、実際に手を動かしてみて見えた「ガバナンスの正体」とは何か。

エージェンティックAIを実務に投入すると、すぐに直面するのが「このAIに何をどこまでやらせるか」という問いです。そしてその問いは、驚くほどシンプルな設計判断に帰着します。

どの情報資源へのアクセスを与えるか。 Coworkであれば、どのフォルダを開放するか。Claude Codeであれば、どのリポジトリやディレクトリに入ることを許すか。アクセスを認めた範囲がそのまま、AIの「権限の境界」になります。

そのアクセスレベルは読み出しだけか、書き込みや削除も含むか。 ファイルを見せるだけなのか、新しいファイルを作ることも認めるか、既存ファイルの書き換えや削除まで許すか。Anthropic自身がCoworkのドキュメントで「機密情報を含むフォルダへのアクセスには慎重に」「バックアップを取り、専用フォルダを用意することを推奨」と注意喚起しているのは、まさにこのレイヤーの話です。

承認は個別に行うか、ある程度フリーハンドで任せるか。 Claude Codeは重要な操作の前にユーザーの承認を求める仕組みがあります。一方で、すべてにいちいち承認を出していては自律エージェントの意味がありません。どこまで信頼して任せるかの線引きが必要になります。

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結局のところ、AIガバナンスを考える際、まず考えるべきは「どの箱庭を与え、その中で何を許し(または許さず)、どこで人間がチェックポイントを置くか(または置かないか)」という初期設計の問題です。

「組織全体として継続的にリスクを監視・評価し」という話は、この設計が固まった後の運用フェーズの話であって、AIが実際に人間の代わりに自律的に働きだした今、議論の順番としてはもう一段手前こそが重要だと思います。

これじゃあWindowsフォルダ管理と大差ないじゃないですか


そして、この設計をやっていて既視感に気づきます。

これは私たちが30年前からやっているWindowsのフォルダ権限設定と、本質的に同じ構造です。共有フォルダに対して、誰に読み取り権限を与え、誰に書き込み権限を与え、誰に削除権限を与えるか。部署ごとにアクセスできるフォルダを分け、機密度に応じて権限レベルを変える。IT部門がActive Directoryとにらめっこしながら設計してきた、あのアクセスコントロールの話です。

Claude CodeもCoworkも、結局は特定のフォルダ(サンドボックス)に対するアクセス権を与えてそこで作業をさせるシステムです。技術的にはCoworkの裏側でVMが走っていたり、Claude Codeがチェックポイント機能で状態を保存・復元できたりと、実装は洗練されています。ですが、どのリソースへのアクセス権を与えるかを決めるその作業ベースで見れば、30年前から変わっていません。

時代は進化したようでいて、Claude Code / Coworkのガバナンスを突き詰めると「フォルダのパーミッション設定」に帰着するという、なんとも拍子抜けするオチだったのです。Claude Code を自分でセットアップして実務に使った人なら、遅かれ早かれこの境地にたどり着くはずです。

とはいえ、本当にそれでいいのでしょうか。

フォルダのアクセス権という粒度は、人間がファイルを手で操作していた時代に最適化されたものです。AIは、フォルダの中身を一瞬で読み尽くし、数百のファイルを同時に書き換え、人間には不可能な速度で「権限の範囲内」の作業を完了します。権限の範囲内であっても、その実行速度とスケールが人間とは根本的に異なる以上、同じ粒度のアクセスコントロールで本当に十分なのかという疑問は残ります。

たとえば、フォルダ単位ではなく「このエージェントは契約書のドラフト作成はできるが、金額条件の変更はできない」といった、文書の意味内容に踏み込んだ粒度の権限設計があってもいいはずです。あるいは、操作の累積量やパターンに基づく動的な制御——「短時間に大量のファイルを削除しようとしたら自動停止」のようなアノマリー検知型のガバナンスも考えられます。

AIが本格的に業務に浸透するこれからの時代に、フォルダ権限モデルのままで走り切れるとは思えません。ですが現時点では、そこに新しい枠組みを提示できている企業もツールもまだ見当たりません。

"NO Human in the Loop"の追求


もうひとつ、根本的な問いがあります。人がAIの邪魔をするリスクについてです。

2026年2月、日経新聞が「AIエージェントやロボAI『人の判断必須の仕組みを』 政府指針に明記」と報じました。政府が3月にもまとめるAI指針案で、AIエージェントやフィジカルAIに対して「人間の判断を必須とする仕組み」づくりを開発企業に求めるという内容です。

これに対して、THE GUILD代表の深津貴之さんが、Xで端的に批判されていました。

「筋悪い」と思う。26年の課題に人間速度で対処しようとしてる。28-30年を見据えるなら、政府指針は「高速AIの間に人間がいて生産性が激落ち」に準備すべき。無人環境におけるガバナンス・リスクコントロール・マネジメントの構築ワーキンググループと法規制をもっとやるほうがよい。



Claude CodeやCoworkを実際に使っていると、痛感するのがまさにこの点です。AIエージェント同士が高速に連携して作業を進めるワークフローの中に、いちいち人間の承認を挟んでいたら、エージェントを使う意味が根本から失われます。現に、Claude Codeで逐一承認を求められるモードで作業をすると、生産性は劇的に落ちます。「Human in the Loop」は昨今AIガバナンスの定番フレーズとなっていますが、それはAIがまだ人間の補助ツールだった時代の発想です。

私の意見はシンプルです。これからのAIガバナンスが本気で取り組むべきは、「NO Human in the Loop」の環境をいかに安全に成立させるかだと。人間がループの中にいなくても暴走しない仕組み、逸脱を自動検知して止まる仕組み、事後的に検証可能なログを残す仕組み——深津さんの言う「無人環境におけるガバナンス」とは、そういうことだと理解しています。

企業法務の立場からすると、これはリスク管理の設計論としても、内部統制の議論としても、かなりホットな論点になるはずです。もちろん、OECD原則やEU AI法が求める「人間中心(human-centric)」の理念と、運用上の「人間の逐一介入」は別の話だろう、という専門家の指摘があるのは承知しています。ただ、日本の政策議論やガバナンスの現場では、その区別がついていないまま「とにかく人間を噛ませろ」が正解として流通しているのが実態ではないでしょうか。

「人間の判断を必須とする仕組み」「必ず人間が最終確認・修正」を水戸黄門の印籠のように崇めている限り、日本企業はAIの恩恵を十分に受けられないまま国際競争力を失っていく。かといって、ガバナンスなしに野放しにするわけにもいかない。その間をどう設計するかが、これからの企業法務に突きつけられている本当の問いだと思います。

【本】『世界は法律でできている』── よいロビイングとは何か

 
私がいま仕えているボスによる共著書『世界は法律でできている』が、本日より書店・Amazonほかに並び始めました。

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ベンチャー企業の20年を、ドキュメンタリーで読む


本書は、弁護士ドットコム創業者 元榮太一郎本人と、彼を周りで支えた役職員・弁護士・顧客・株主を、共著者の上阪徹さんが直接取材し、会社設立からマザーズ上場、そしてプライム市場変更までの20年間をドキュメンタリー調に描いたものです。

ベンチャー企業の創業期から成長期に見られる“あの出来事”“あの転機”が、現場のリアルな温度感とともに押し寄せてくるタイプの本で、弁護士ドットコムという会社に興味がなくとも、「重要局面で、ベンチャーの企業幹部たちが何を見て、何を決め、どう動くのか」に関心がある方には刺さる内容になっています。

そして、私が携わるロビイングの仕事にも触れてもらっています。

電子署名法の解釈変更の仕事


私が登場するのは、第4章第2節「電子署名法の電子署名ではなかった?」。その冒頭は、こんな仰々しい書き出しで始まります。

2017年10月、一人の人物が弁護士ドットコムにジョインした。電気通信業、人材サービス業、ウェブサービス業ベンチャー、スマホエンターテインメントサービス業で法務・知財の経験を積み、責任者も務めてきた橋詰卓司だ。(P159より)

書き出しだけ読むと、まるでこれから私が世界を救うヒーローか何かのようですが、実際は「法務マン → 電子契約サービスのマーケター →コロナ禍を機にロビイスト」という、一貫性のない(?)職業人生の話です。

ただ、その“転身”の経緯が、上阪さんの緻密な取材にもとづいて生々しく描写されていて、読みながら何度か「それ、私の脳内より解像度高いな…」と思いました。

本書に実名で登場する役員・従業員は15人ほどで、ほとんどが創業期から会社を支えてきた大先輩ばかり。そんな登場人物の一人として、自分ではない他人が書いてくださった本に私も取り上げていただけたことは、大変光栄でした。

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私が登場するパートで特に取り上げてもらっている「電子署名法の解釈変更」の仕事については、ここで補足しておきたいことがあります。あの仕事は、この書籍では名前が出ていない社外の方々のご尽力のリレーによるものでもありました。書籍では端折られていた経緯として、2020年に何が起こっていたかを記しておきたいと思います。

4月下旬、日本組織内弁護士協会(JILA)の渡部友一郎先生と、以前から判子問題で意見交換させていただいていた内閣府のO様に向けて、私の考えをA4×5枚ほどの文書でお届けしたところがスタートでした。そこから内閣府のY様に繋がり、内部会議に呼んでいただけるチャンスを得て、

・電子署名法(と、当時書籍等で専門家が語っていた古い条文解釈論)の何が問題か
・クラウド型の電子署名サービスはどんなテクノロジーに支えられているのか

細かいところまでお伝えしました。すると2週間後の5/12規制改革推進会議成長戦略ワーキンググループにに出てくれ、と。この会議で、JILAからは電子署名法改正の必要性を、私たちからは電子署名法の解釈変更の要望をお伝えしました。この時点では法務省より「クラウド型は電子署名法上の電子署名には当たらないと考える」旨の否定的見解が述べられ、同WG委員を務められていた落合孝文先生らに強く反論していただいたことが、公開されている議事録にも残っています。しかしその翌週5/18に、内閣府大塚拓副大臣のもとに関係省庁の責任者が一堂に集められ、私たちも改めての要望と詳細な質疑応答を行う機会を得ました。副大臣クラスが抱える仕事はこの問題だけではないはずなのに電子署名法の関連資料を詳細に読み込んで理解していらっしゃり、驚いたのを覚えています。

これを受けて5/29には法務省より、まずは会社法上の電子署名として認める、との考え方が示されました。会社法上認めるとなれば、今度は商業登記に係る法令を整備しなければならなくなります。法務省からはどうしたら商業登記法にフィットする電子署名といえるのかについて相談があり、何度か往訪して個別にディスカッションを行いました。アドバイザリーをお願いしていたM先生にも理論構築を支援いただきながら商業登記規則改正の必要性を訴え、6/15、クラウドサインが初めて商業登記に利用可能なクラウド型電子署名として指定されます。この流れが、5 /12時点の法務省見解を覆して「クラウド型も電子署名法上の電子署名に該当する」と述べた7月・9月の電子署名法Q&A発出へと繋がりました。

反対者も多かった政府側で本件を推進してくださった内閣府のO様・Y様、落合先生、大塚副大臣、そして傍らでボランタリーに伴走してくださったJILAの渡部先生。この方々がいらっしゃらなければ、日本の電子署名普及は、おそらくもう数年は遅れていたはずです。

当時の気づき:「よいロビイング」とは何か


約5年前の仕事が、まるでいま目の前で起きているかのような迫力ある文章で再現された本書を読みながら、当時の自分の“気づき”も思い出しました。

私にとって「よいロビイング」とは、たぶんこういうものです。

「よいロビイングとは、ユーザー・社会から信頼を獲得する努力を尽くした後に、その信頼を、ルールを変えることの正当化根拠としているもの」

この順番が逆になると、一気に危うくなります。「ルールを変える」が先に来て、「信頼の獲得」が後追いになると、やっていることがどれだけ“手続きとして”正しくても、社会の目には「わるいロビイング」に見えてしまう——この感覚は、今も変わっていません。

なぜ日本では、ロビイングが“悪”のままなのか


日本では、ロビイングという仕事や言葉には、いまもなお悪いイメージがつきまといます。それを払拭しようと、呼び名を「パブリックアフェアーズ」「ルールメイキング」と言い換えるムーブメントもありました。しかし、正直なところ、看板を掛け替えても、ネガティブなイメージはあまり剥がれていない気がします。

つい先日も、ルールメイキングの成功例として著名なマイクロモビリティ企業の広報対応がネット上で話題になり、それをきっかけに過去の政策対応まで蒸し返されて、結果として何度目かの炎上が起きている様子を見ました。

その中には、「創業当時も強引なロビイングでクロを無理矢理シロにした会社だし」といった、かなり刺々しい言葉も混じっていました(真偽や評価はさておき、そう言われてしまう状況自体が、現場の肌感覚としては示唆的です)。

ロビイストの目で見る限り、当時のやり方は、教科書に書かれたセオリー通りのステップを踏んでいたようにも見受けられます。なのに、後になって「わるいロビイング」の代名詞のように語られてしまうのは、なぜなのでしょうか。

生成AIのもっともらしい答えに抜け落ちているもの


試しに生成AIに「よいロビイングとはなんですか?」と聞いてみると、こんな答えが返ってきました。

「政策決定者がより良い判断をできるよう、検証可能・透明・公正な形で、情報の非対称性を埋める行為」

一見するとそれらしい。でも私は、この答えは“危険”でもあると思っています。なぜなら、ここで決定的に重要なのは、

「政策決定者と“誰”の間の情報非対称性を埋めるべきか」

という問いだからです。

“ユーザー”が抜けると、一瞬で「わるいロビイング」になる


生成AIの回答には、“ユーザー”の視点が抜けています。

解消すべきなのは、本来は 「ユーザーと政策決定者の間の情報の非対称性」 のはずです。ところが、ここを取り違えて 「事業者と政策決定者の間の情報の非対称性」 を埋めることに邁進すると、とたんに「わるいロビイング」になります。

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先のマイクロモビリティの例でいえば、権威性・技術の先進性・理論上の効用アピールばかりに走らず、製品・サービスを実生活の中で試せる期間・範囲をもう少し広げ、実際に使ったユーザーから自然発生的に「このイノベーションは生活に役立ちそうだ」と声が上がる状態が先に生まれていたら、世の受け止め方は変わっていたかもしれません。

「ユーザーの熱量の総和」が社会の空気を変え、その空気が政策決定者の判断の前提を変える。

その順番が成立しているかどうかで、同じルール変更でも評価が真逆になり得る、ということです。

結局、ロビイングのはじめの一歩は「ユーザーの心を動かす」


事業者の都合や思い先行で法律を変えようとするのではなく、ユーザー自身が心から使いたがっている状況を先に作る。そのタイミングを適切に捉え、わかりやすい証拠・ロジック・表現をもって政策決定者を動かすのが、「よいロビイング」だと思います。

言い換えるなら、ロビイングのはじめの一歩は、(政策決定者の心ではなく)まずユーザーの心を動かすこと。そして、それはマーケティングと地続きです。ロビイングもマーケティングなのです。

とはいえ、やってみて何か問題があれば対処する“事後規制型”と違い、石橋を叩いて渡る“事前規制”を是とするのが日本です。そのような環境下で、

・ユーザーの中で必要性・納得感が醸成されるタイミング
・事業者が生み出したイノベーションをビジネス(お金)に変えるタイミング

この二つをうまく噛み合わせるのは、簡単なことではありません。でも、だからこそ「歯を食いしばって、信頼を先に積み上げる」ことが最後に効いてくる。本書を読み返しながら、そんな当たり前のことを改めて思い出しました。

というわけで、よかったらお手に取ってください。私は第4章第2節で、仰々しく待っています。







Buy it, use it, break it, fix it ── 「バイブ法務」な2026年へ

 
2025年もお疲れ様でした。今年を振り返ると、AIの脅威が良い意味でも悪い意味でも仕事・生活の両面で具体的に感じられた一年だったと思います。

そんな空気を表す一曲として、Daft Punkの"Technologic"を選びました。『チャイルド・プレイ』のチャッキーのようなロボットが印象的なこのPVは「テクノロジーが生活・労働・教育の手順を規定し、人が“命令実行体”へと最適化されていく状況」の暗喩に見えます。企業組織の文脈では「標準化・オペレーション化・KPI化が進みすぎた職場で、人が“オートメーションの部品”になる」ことへの批評かもしれません。



機械的に繰り返される “Buy it, use it, break it, fix it ...” は、法務パーソンが契約書作成・稟議・運用で回しているループのよう。2025年、そのループをAIが本格的に乗っ取った感があります。エンジニアが「コードを書く」仕事があと3年で消えるというなら、法務パーソンが「契約書を書く」仕事は、あと何年生き延びられるのでしょうか。

バイブコーディングの登場


将棋の藤井聡太竜王・名人が「2025年にハマったもの」として挙げた「バイブコーディング(vibe coding)」。要は、人間がキーボードでコードを書くより先に、AIに口頭で指示して作らせ、動かし、直させるやり方です。



1. 「こういうアプリケーションが欲しい」と要件を生成AIに向かって口で言う
2. 生成AIが書いたプログラム物を動かしテストする
3. エラーや違和感をAIに口で伝えて、直させる
4. これを繰り返す

もはやエンジニア自身が手を動かしてコードを書くことがなくなり、ユーザーのように運用結果のフィードバックを伝えるだけの存在となりつつあります。

バイブコーディングの本質は、「書く作業が楽になる」ではなく、「とりあえず動いて試せるものが出せ、顧客にすぐに見せられ、良し悪しを仰げる」ことにあります。価値の中心が、「起案(作る)」から、「仕様(求める)・検証(確かめる)・責任(引き受ける)」へスライドしています。提唱者のAndrej Karpathyが述べた“vibesに身を任せてコードの存在を忘れる”という表現が、その感覚を表しています。

バイブ法務:法務のAI化にバイブコーディングが示唆すること


この構図は、そのまま法務業務にも移植されるでしょう。例えば契約書作成・レビューの仕事を分解すると、

(1) 論点抽出・優先順位付
(2) 条項案作成
(3) 先例や業界標準との差分比較
(4) ビジネス背景の反映
(5) 代替案の提示

であり、時間を要するかなりの部分が「探索・要約・ドラフト」の作業です。こうした緻密な作業の積み重ねはAIが得意なことですから、急速にコモディティ化しました。もちろん、すでにこのことに気づいている法務パーソンは少なくなく、仕事を軸足を「ドラフトに赤字を入れる」から「前提を揃え、判断を運用に落とす」へ移さなければ、と言われています。

・リスクアペタイト、権限、証跡の設計
・利害関係者の調整、交渉の筋の作り方
・例外処理と品質保証(プレイブック、ワークフロー、教育)

とはいえ、ここで「バイブ法務」に身を預けすぎると事故が起きます。契約は、条文だけで意味が確定しません。商流、交渉経緯、運用実態、規制当局の空気、炎上時の説明可能性──そうした前提込みで結論が変わるからです。

「判断ができるのは人間だけ」という神話を疑う


法務のような専門領域にもAIが導入されつつあることへの反論として、「AIは確率論で平均的な答えを速く返すだけ」「責任を伴う高度な判断・意思決定は人間しかできない」という定番フレーズがあります。果たしてそれは本当でしょうか。

AIのアウトプットが確率的な出力であるのは事実としても、それは「平均的な人間程度の仕事しかできない」とは違います。目的関数として、守りたい価値や許容リスクを与えれば、それに沿った提案を24時間365日いつでも・いつまでも量産できます。人間の意思決定という行為を分解すれば「選択肢を並べ、前提に照らし、リスクとリターンを比較し、コミットする」プロセスであり、AIはこのプロセスの大部分に踏み込むことが可能です。

人間とAIの間に残る境界は、「委ねられる」かではなく「統制できる」かであると言われるようになりました。誰が責任を負うか、どの条件なら自動で進めてよいか、誤りが出たときに検知・修正できるか。判断を人間だけの聖域にするのではなく、判断を運用に落とす技術が問われていく2026年になりそうです。

境界線を押し広げる


2026年に私がやりたいのは、「AIはここまで」論の確立ではなく、境界線を押し広げる実験です。

契約業務であれば、プレイブックを前提に、AIに一次判断(受諾/要交渉/拒否)まで出させ、その前提と理由をログに残す。人間は例外処理と再設計に集中する。怖いのはAIではなく、委ねたつもりで統制していない状態です。

“fix it”はリスクの後始末のことではなく、回り続けるビジネスループの設計変更と捉え、そのどこまでをAIに委ねられるのかを、実務で測ってみたいと思います。

三者間NDAは「ファンタジー」である――契約の儀式化に抗うためのメモ

商談で当事者が三社(例えばメーカー/問屋・コンサル等仲介者/購入者)になると、だいたい誰かが言い出します。「三者間で1つのNDAを締結すれば、手間が減るし、きれいですよね」と。

確かに“紙の上”ではきれいでシンプルです。ところが、現場の情報の流れは契約書のようにきれいになりません。ここで法務が安易に「では三者間NDAにしましょうか」と言ってしまうと、契約はただの儀式になります。

なぜか?理由は単純で、三者間NDAが想定している前提(常に三者同席・同一粒度・同一タイミングで情報交換)が、ビジネスの現実と一致しないからです。

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問題1:情報は必ず「二者間」で偏る


ビジネスでは、全体としては三社が関与して進めていても、個々の連絡はほとんどのケースで二者間で走ります。

・会議の後の補足説明
・機微に触れる価格条件の詰め
・仕様の微修正
・スケジュールの前倒し・遅延の連絡

こういう情報交換の本丸はDMになりがちです。「二者間での連絡は禁止」などと運用で縛らない限り、情報格差は必ず生まれます。そして、その瞬間に三者間NDAが前提とする「対称性」は崩壊します。

結果、情報を多く持つ側が交渉力を持ち、持たない側が「それは聞いてない」を連発する。NDAは格差を是正してはくれません。

問題2:誰が誰の秘密を守るのか、条文は追いつかない


三者間NDAは各社が「開示者でも受領者でもある」構造になりがちです。すると、同じ会話の中で、Aの秘密・Bの秘密・Cの秘密が混在します。

議事録を誰が作り、誰が保管し、どの情報が誰のConfidential Informationなのか。実務ではそこまでタグ付けしません。タグ付けしないなら、後で「それは当社情報だ/いや当社の一般知見だ」の水掛け論が起きます。

最終的に“誰の秘密でもある”=“誰の秘密でもない”になりがちです。

問題3:目的条項(Purpose limitation)が空洞化する


NDAの核は、「目的外使用の禁止」です。しかし三者間になると、契約書に定めたはずの目的が曖昧に運用されます。

それを想定して「本件取引の検討」と広く書けば、各社の社内横展開を止める術がなくなります。狭く書けば、誰かの実務が止まります。

結局、無難な文言に寄せて運用でカバーと言い出した瞬間、法的拘束の実効性は薄まるのです。目的が曖昧なNDAは、名刺交換の延長程度の効果しかありません。

問題4:Representatives条項が“無限増殖”する


三者間にすると、各社が弁護士・会計士・外注・関連会社へ開示する余地も三倍になります。しかも、第三者の違反責任を誰が負うのか(受領当事者が負うのか、直接請求できるのか)が複雑化します。

結果として、いざ事故が起きたときに「結局、誰に何を請求できるの?」が曖昧なまま残ります。曖昧な責任は、責任ではありません。

差止め(injunctive relief)を入れても、誰が誰に請求するのかが曖昧なら、実務では動きません。

問題5:例外条項(公知・独自開発・第三者入手)が三倍難しくなる


「独自に開発した」「公知だった」といった例外は、二者間でも立証が面倒です。三者間だと、情報の出所がさらに混線します。

A→B→Cの説明の途中でBの一般知見が混ざる。Cの質問がAの回答を引き出す。こうなると、何が誰の秘密だったのか、後から線引きできません。

線引きできないルールは、裁判になった瞬間に弱いものです。

問題6:返却・削除条項が“できる前提”で書かれる


三社が互いの情報を持ち合うと、返却・削除は事実上「全部消去」しか取り得なくなります。

対象となるのはバックアップ、チャット、個人端末、議事録、翻訳データ……。二者間でも厳しいのに、三者間で完全実行はほぼ不可能です。

できない義務を積むと、契約は儀式化します。儀式化した契約は、当事者の行動を矯正しません。

それでも三者間NDAを締結したいなら(成立するレアケース)


三者間NDAが“まだマシ”になるのは、情報開示を「三者が同じ場所で開示し管理する」運用に落とせるケースです。たとえば、

・情報秘密情報の共有はデータルームに限定し、開示は必ずそこに上げる
・二者間に閉じた情報の受け渡しは禁止
・会議メモは当日中に共有し、各段落に開示者を明記する
・当事者ごとに「当社秘密情報の定義・開示済み秘密情報リスト(添付別紙)」を更新する
・違反時の直接請求権(第三者受益または各当事者間の直接義務)をはっきりさせる

ここまでやって初めて、三者間NDAは履行可能な契約になります。そんなの現実的じゃないですって?では実務ではどうすべきか。「三者間NDAで楽をする」発想を捨てましょう。事故らないための実務の落としどころは、以下の通りです。

1)本線の当事者(最終的に契約する二社)で先にNDAを結ぶ
2)仲介者はRepresentativesとして扱う・必要なら加入書(Joinder Agreement)/誓約書で拘束する
3)情報の種類ごとに開示範囲と管理方法を決める

三者間NDAは、きれいな設計図に見えます。でも現場は配線がむき出しです。むき出しの配線をきれいな図面で隠しても、火花は散ります。

契約を儀式化して見た目だけの安心を演出するのは、法務として一番やってはいけないことではないでしょうか。

日本に企業法務パーソンは何人いる?就業構造基本調査で見えた法務の「希少性」の正体

「法務パーソンが足りない」「採用をかけてもいい法務人材が見つからない」「法務市場は供給が需要に追いついていない」

ではそもそも、企業法務パーソンたる人材は、日本の労働市場に何人いるのでしょうか?

弁護士が約5万人弱(日本弁護士連合会)、インハウスローヤーが4000人弱(日本組織内弁護士協会)といったように、法曹資格者数については正確な統計があります。しかし、当然これには無資格の法務パーソンは含まれませんし、企業法務に関わっていない弁護士もいらっしゃいます。商事法務研究会・経営法友会の「法務部門実態調査」もあるものの、同会所属の会員企業を母集団とするアンケート調査結果からは、日本全体の企業法務人口のボリュームを推計するのは困難です。

そのため、企業の中で無資格者も含めて法務パーソンが何人いるかという問いに対する回答は、人材業界にそこそこの年数勤めた私ですら見たことがなく、これまで答えてくれる人はいませんでした。

答えが国の統計の中にあった


そんな中、総務省統計局が5年に1度行っている「就業構造基本調査」に、その答えにかなり近い数字があることに気づきました。

具体的には、e-Statの統計表(表番号02100 男女、職業、従業上の地位・雇用形態・起業の有無別人口(有業者)−全国)で、職業分類「B17 法務従事者」を、雇用者(正社員・非正規)で切ると、企業法務の“実務者人口”をかなり高精度でベンチマークできるのです。

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ここで言う「法務従事者」は“資格”ではなく“職業(主たる仕事)”の分類です。従って企業内法務に限らず、行政の法務、士業兼業者の一部も混ざります。また、総務や人事の肩書で契約審査やコンプラ対応にも携わる人はここにカウントされていない可能性が高いです。つまり、これは「専任っぽい法務」の下限に近い数字で、過小評価方向のバイアスがあることになります。

とはいえ、これ以上に網羅的で定義が揃ったデータは、少なくとも私は知りません。この数字を“法務人材市場の公式ボリューム”と言っても、間違いではないでしょう。

結論:法務は、バックオフィスの中でも桁違いに少ない


最初に結論です。令和4年の「法務従事者(B17)」の雇用者数は合計3.7万人(正社員3.17万人、非正規0.53万人)でした。

この表における雇用者総数は約5722万人なので、法務パーソンは雇用者全体の0.065%。ざっくり言うと「社員1500人に法務が1人いるかどうか」という密度となります。

この密度を、企業規模に引き直すともっと生々しく実感できます。

•従業員300人の会社:平均0.2人(つまり多くの企業は法務ゼロ)
•従業員1000人:平均0.6人(1人法務はレアではなく“理論値”)
•従業員3000人:平均1.9人(ようやく複数名体制が視野に)
•従業員10000人:平均6.5人(大企業でも二桁は当たり前ではない)

もちろん実際の分布はもっと歪です。日本組織内弁護士協会による統計を見ても分かるとおり、大企業に法務パーソンが集中しており(しかも有資格者が多数)、中小企業はゼロが普通となります。

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それでも、「法務は社内に常設されない機能である」という構造が、この単純計算だけで十分伝わってきます。

他職種と比べると、希少性が際立つ


管理部門におけるその他事務従事者の人数と比べると、もっと生々しい現実が見えてきます。

•事務職(C:いわゆるバックオフィス全般):1365万人。法務の約369倍
•一般事務(C25:総務・人事を含む“いわゆる事務”):943万人。法務の約255倍
•会計事務(C26:経理・財務のコア):175万人。法務の約47倍
•生産関連事務(C27:製造業の管理系):82万人。法務の約22倍

「管理部門」「事務職」とひとくくりにされがちですが、ヘッドカウントの規模は同じ土俵にありません。法務は“希少職”というより、“ニッチ職”というべきでしょう。

この差は採用市場の流動性にも響いてきます。母集団が255倍も違う職種同士で、採用難易度や評価制度、教育体系が同じであるはずがありません。法務だけが「ジョブ型で」「専門職で」「即戦力で」と言われやすい背景には、こういう構造があります。

正社員比率の高さは、法務人材を置くこと自体が会社のリスクマネジメントである証拠


もう一つ興味深いのは、雇用形態です。雇用者全体では非正規が36.9%なのに、法務(B17)は非正規14.3%にとどまります。一般事務の非正規32.2%、会計事務の非正規27.5%と比べても明確に低い値です。

要するに、法務は「繁忙期だけ人員を増やす」「派遣で回す」になりにくい職種ということです。内部情報と意思決定に近く、属人的になりがちで、引き継ぎコストが高い。このようなニッチ職だから正社員比率も高くなります

法務経験のポータビリティは“部署内で完結する知識”では足りない。意思決定を促す技術まで持ち運べるかが勝負になるのもこのためです。

男女比の逆転も、法務の人材市場をさらに狭くする


法務(B17)の男女比は、男性55.7%、女性44.3%です。

同じバックオフィスでありながら、一般事務(女性59.6%)や会計事務(女性71.8%)とは逆方向です。望ましいかどうかは別として、採用市場として見ると「候補者の分母が元々小さい上に、さらに偏りがある」構造になります。

ここに“経験年数の壁”や“英語要件”が乗ると、タレントプールは想像以上に底が浅いです。

なぜ体感とズレるのか:「法務っぽい仕事」は法務以外が抱えている


法務に携わる人はそこそこ多そうなイメージなのに、法務をメイン職種とする人材がたったこれっぽっちしかいないのか、と驚かれた方も少なくないでしょう。この体感と現実のズレは、どうして生じるのでしょうか?

それは、企業内部には、法務に分類されない「隠れ法務業務」が他職種のそこかしこに大量に埋め込まれているからです。

契約審査の一次対応を営業や購買がやっていたり、個人情報対応を情シスやCSが握っていたり、コンプラ研修を人事が回していたり。法務機能はこのように組織内に分散する前提にあり、それでも法務部門が必要だという企業は、“最後の防波堤”としての機能を集約した人材を組織化し、そこに法務部の表札を与えるのです。その結果、B17の人数は増えにくいのに、仕事の流量は増えるという状態が維持されます。

外部弁護士の活用が前提になりやすいのも、こうした理由で法務人口が薄い状態が続けられてきたことの裏返しといえます。

法務市場は「狭い」ことを前提にキャリアを設計すべき


この3.7万人という数字は、法務パーソン個々人にとってのキャリア設計にも直結します。

1.転職市場は極めて小さく狭い。役職者ポストも少ない、比較対象(候補者)も少ない
2.だからこそ、評判とネットワークのレバレッジが効く(紹介、非公開求人、一本釣りが起きる)
3.一方で、専門性の尖り過ぎは“席の少なさ”に直撃する(特定領域の求人がそもそも少ない)

私が法務からマーケティングやロビイングに仕事の軸足を変えていった理由も、結局はここに行き着きます。法務に閉じた専門性だけでは、移動可能性が限定されてしまうためです。しかし、法務の言語で事業・政策・リスクをビジネス言語に翻訳できるなら、その希少性が市場価値に直結もします。

具体的には、次の3つアプローチが効くと言われます。

•「法務×隣接領域」のT字化(ガバナンス、コンプラ、個情、危機管理、渉外、ロビイング)
•成果物の可視化(社内意思決定を動かした事実、プレスリリース化、案件類型化、標準化、KPI化)
•社外流通する信用の積み重ね(外部弁護士・業界団体・官庁との接点、発信、登壇、書籍・論文執筆)

法務が“少ない”こと自体が問題なのではありません。ただ、少なさを産む構造は変わらないのに、法務人材への期待値だけが上がり続けていることは問題です。

この職種の希少性を、過大にも過小にもならないよう正確に認識したうえで、「最後の砦」的な役割だけでなく、組織の意思決定と市場(採用・評価・業績)を動かせる法務像を描きながら、自らのキャリアを計画しプレゼンテーションしていく必要があります。
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